出願前に確認すべき学校推薦型選抜の条件とは?わかりやすく解説

学校推薦型選抜を徹底解説 余裕を持った対策を

かつて推薦入試と呼ばれていた「学校推薦型選抜」は、高校3年間の学業成績や課外活動実績などをもとに、受験生の個性や意欲を評価する選抜方法です。多くの私立大学を中心に導入されている入試方法であるため、学校推薦型選抜を使うか迷っている受験生も多いでしょう。

学校推薦型選抜は、主に公募制と指定校制の2種類ありますが、どちらも一般的に大学が設ける出願条件をクリアした上で、学校長の推薦が必要になります。そのためにも、まずは基本となる情報を把握しておくことが大切です。

今回は、学校推薦型選抜の種類や出願条件、評定平均の考え方、出願前に注意すべきことについてご紹介します。

学校推薦型選抜は主に2種類

アイディアを持ち寄る仲間

学校推薦型選抜には、主に「指定校制推薦」と「公募制推薦」の2種類があります。それぞれの推薦方法では求められる出願条件が異なるため、対策をとるためにもまずはそれぞれの推薦制度について把握しておきましょう。

指定校制推薦

指定校制推薦は、大学が指定校として認定した高校や、大学の付属(系列)高校のみが出願できる選抜方法です。推薦枠が一校につき1~2名程度と少人数であるため、推薦を受けるために校内選考の段階から評定平均の高さや課外活動への貢献度などが重要視されます。

また、指定校推薦は学校同士の信頼関係により成り立つ制度であるため、指定校推薦を受けて出願すると、特別な理由がない限り合格を得られるのが一般的です。ただし、基本的には専願となるので、原則として合格後の入学辞退は認められません。

公募制推薦

公募制推薦は指定校推薦とは異なり、出願できる高校の制限がありません。大学の出願条件を満たし、出身校の学校長から推薦を得られれば誰でも出願が可能です。在学中の生徒だけでなく、既卒生の出願を認めている大学もあります。全国の受験生が出願できるため、傾向として指定校制推薦よりも合格の難度がやや高めです。

また、公募制推薦は、学業成績の評定平均を重視する「一般推薦」と、部活動や課外活動などの実績を重視する「特別推薦」に分けられます。特に、特別推薦では、次のような分野においての実績や成績をアピールし出願できるため、平均評定の基準が設けられていない大学も多くなっています。

スポーツ推薦インターハイレベルの実績が条件。大学から競技種目が指定されることが多い
文化活動推薦都道府県レベル以上の大会で上位入賞が条件
取得資格推薦英検やTEAP、簿記、情報処理などの資格や検定取得者が対象
課外活動推薦生徒会活動やクラブ活動などで、リーダーシップを発揮したり、優れた実績を残したりした者が対象
社会活動推薦ボランティア活動や地域活動など、社会に貢献する活動で実績を上げた者が対象。活動実績を証明する必要がある
一芸一能推薦あらゆる分野において際立った特技や資格、能力や個性がある者

国公立大学の医学部では地域枠推薦も

地方の国公立大学の医学部では、地域の医師不足の緩和を目的として、卒業後の勤務地や、出身地域に制限を設ける「地域枠推薦」も実施されています。2021年度の入試では、全50大学のうち39大学で地域枠推薦が実施されており、卒業後に地域の医師として勤務することを条件に奨学金が受給できるなどの例も少なくありません。

また、中には地域枠推薦の倍率が低い大学もあるため、キャリアプランに合わせて選択肢に入れることも検討してみましょう。

学校推薦型選抜の試験に関しては、当ブログの「学校推薦型選抜とはどんな試験?公募制と指定校制に分けて解説」という記事に詳しく載っていますので、そちらも参照してください。

おもな出願条件とは?

条件を順番にチェック

学校推薦型選抜では、一般選抜の出願基準に加え、成績や課外活動実績など高校3年間の評定平均が出願条件として設けられることが多くなっています。推薦を受けるには大学が定める出願条件をクリアする必要があるため、志望校が掲げる出願条件をしっかりと把握しておきましょう。

出願条件は「学業成績」「卒業年度」「併願の可否」など

学校推薦型選抜の出願条件には、主に「学業成績」「卒業年度(現役生か既卒性か)」「併願の可否」などがあります。中でも学業成績は最も重視される条件で、「評定平均値4.2以上」など、大学から具体的な数値で条件が指定されます。学校推薦選抜の受験を考えるなら、日頃の試験勉強にしっかり取り組むことが大切です。

また、既卒生で学校推薦型選抜を考える場合は、卒業年度についても確認しておく必要があります。大学によっては現役生のみの出願しか認められていなかったり、卒業年度に制限がある場合があったりするので、出願条件にあてはまるか否かを確認した上で出願を検討しましょう。

国公立大学は出願条件が厳しめ

国公立大学の学校推薦型選抜は、公募制推薦のみとなっており、さらに出願条件として現役生のみに制限している大学が多くなっています。私立大学に比べると評定基準が厳しいことに加え、募集人員が少ないため、推薦人数が制限されるケースも少なくありません。

その場合、出願前に学内での選抜が行われるなど、推薦を受けるまでのハードルが高くなっています。国公立大学で学校推薦型選抜を検討する場合は、よりハイレベルな対策が必要になります。

また、地方の国公立大学の医学部では、卒業後に一定期間地域の医療に従事することを条件とした「地域枠推薦」を行っている場合もあります。地域の医師不足を緩和する目的として設けられている選抜方法で、全国枠の推薦と併願可能な場合もあるため、確認しておきましょう。

評定平均とは?

学校推薦型選抜では、学業成績の判断基準として「全体の学習成績の状況」もしくは「学習成績概評」の最低基準が出願条件として指定されることが多くなっています。

「全体の学習成績の状況」は評定平均値と呼ばれる数値であり、「学習成績概評」はこの評定平均値をもとにA~Eの5段階で学業成績を表したものです。どちらも高校1年生からの成績が重要になるため、基準となる数値を早めに調べて準備を始めましょう。

評定平均値は高校生活を評価するための指標のひとつ

評定平均値は、「全科目の成績(5段階)÷科目数=評定平均」で求められる数値で、高校1年から高校3年1学期までの成績で算出されるものです。高校生活を評価する際には評定平均が指標とされるため、学校推薦型選抜において、学校側が推薦する生徒を選ぶため評定平均が重視される傾向にあります。

評定平均の条件は大学によってさまざまで、「全体の評定平均4.0以上」といったように全体の評定平均のみ指定される場合もあれば、全体の評定平均に加え、例えば英語は4.3以上など、特定の教科を指定する場合もあります。

評定平均値の付け方とは?

評定平均は全科目の学年末成績評価(5段階)で算出されますが、成績評価が10段階の場合は5段階に直した数値で算出されます。換算基準は学校ごとに定められており、10段階のうち9と10を5とする学校もあれば、8、9、10を5とする学校もあるため、注意しておきましょう。

また、全教科の評定平均に加えて、教科ごとの評定平均の提出が必要になる場合もあります。例えば、数学は数Ⅰ、数A、数Ⅱ、数B、数Ⅲ、数Cがありますが、すべての科目を履修した場合、6科目になります。その6科目分の評定平均値を、数学の評定平均として提出することになるのです。

評定平均値と学習成績概要の関係とは?

「学習成績概評」は評定平均値をもとに次の通りに5段階でランク分けされます。

評定平均値5.0~4.34.2~3.53.4~2.72.6~1.91.8以下
学習成績概要ABCDE

なお、最高ランクであるAの中でも、学校長が優秀と認める場合はⒶと標示することができ、国公立大学の場合は、Ⓐの生徒を出願条件としてしている大学もあります。志望校の学校推薦型選抜を受けるためにも、高校3年間、普段の授業でしっかりと学び、定期テストで高得点を取り、平均評定値を上げることがポイントです。

学校推薦型選抜の選考方法

ゴールに向けて進む人

学校推薦型選抜では、以下のように調査書や推薦書などの出願書類に加え、面接や小論文、プレゼンテーションなどの方法を用いた総合的な判断によって選考されます。大学によっては、学力試験や共通テストを課される場合もあるため、目標とする大学の情報を事前に調べておきましょう。

書類選考・調査書(学習態度や生活態度をまとめたもの)
・推薦書(担任や部活動の顧問が推薦理由を記入)
・志望理由書
・エントリーシート
小論文・課題論述型…与えられたテーマに沿って書く
・文章読解型…長文を読み関連テーマについて書く
面接個人またはグループで実施。理系の大学や学部では、専門分野に関する口頭試問が実施される場合もある
プレゼンテーション出願時に作成した資料などについて、口頭での発表
実技試験芸術系や体育系の学部学科などで実技や作品提出などが課される

学校推薦型選抜の面接試験に関しては、当ブログの「学校推薦型選抜の要!面接試験では何を質問されるのか?徹底対策」という記事に詳しく載っていますので、そちらも参照してください。

学校推薦型選抜の注意点は?

数学の問題集とノート

学校推薦型選抜では、各大学が出願条件として定める平均評定値以上でないと出願できない場合がほとんどです。中には、指定科目の履修や英検などの資格検定の取得が条件となる場合もあるため、高校1年生のころから出願条件を確認し、対策をしておきましょう。

また、指定校推薦では「専願」と「併願」がありますが、専願の場合は合格したら入学を辞退できないとされています。とくに指定校推薦は、入学を辞退すると翌年以降の推薦依頼がなくなり、進学実績に影響が出る可能性もあるため、出願前に合格したら必ず入学したいのかどうか、しっかりと検討しましょう。

早めに出願条件を確認し余裕を持って対策しよう

学校推薦型選抜を受けるためには、志望する大学の出願条件をクリアすることが必須です。出願条件となる評定平均や部活動などの実績などは、高校入学後からコツコツと努力して実績を積み重ねる必要があります。

 この記事で紹介した学校推薦型選抜の種類や出願条件などを参考にして、なるべく早い段階から推薦を受けられるよう対策を検討してみてください。