中学受験で確認必須の英語!英検は取ると有利?難易度から3つの対策ポイントまで解説!

ハードルは高くない!中学受験の英語入試3つの対策ポイント

「中学受験、我が子にもいよいよ英語の勉強をさせるべきか…」
中学受験の新しい流れを受けて、戸惑っていらっしゃるご家庭からのお問合せが、ここ数年増えてきました。

英語が好き・得意なお子さんであれば、英語入試が導入されたことはプラスにもなり得ますが、実際のところ、文部科学省が2021年度に行った全国学力・学習状況調査によると、英語好きな小学生は減少傾向にあり、苦手としているケースがほとんどです。それが受験科目となると、余計にハードルが高く感じますよね。

そこで今回は、英語入試への漠然とした不安を無くすために、英語入試がなぜ導入され始めたのか、出題傾向・難易度など特徴について、更に英語力を伸ばすための3つの対策ポイントまで徹底解説します。
記事の最後には、コスパ良く、家で英語を最短対策できるおすすめ問題集も紹介していますので、ぜひ最後までご覧ください。

英語入試の実施校が増えている背景

中学受験で英語入試を実施する学校は増えてきています。首都圏の中学校を例に挙げると、2014年度の英語入試実施校はわずか15校だったのが、2022年度には146校、たった8年で約10倍にまで増えています。

また、英語は選択科目として扱われることが基本だったのですが、2022年度入試では、茨城県の江戸川学園取手中学校が全国で初めて、すべての入試方式に英語の試験を導入していました。 そもそもなぜ、中学受験での英語入試の導入が増えてきているのでしょうか。3つの背景が考えられます。

小学校での英語の必修化

まず1つ目は、学習指導要領の改訂が行われ、小学3・4年生では「外国語活動」として、5・6年生では「外国語科目」として英語が必修教科となったことが挙げられます。「外国語活動」では、ALT(外国語指導助手)の先生と「話す・聞く」を中心に授業が展開されます。一方、小学5・6年生からは「読む・書く」を中心とした授業になっていきます。

そのため英語は内申点に直結するようになるので、中学受験を考えているご家庭であれば、もし受験本番で英語を選択しない場合でも、合格に近づくために意識して学習させたいところです。

グローバル化による影響

社会で急速にグローバル化が進んでいる近年の動きから、将来グローバルに活躍できる人材を中学生のうちから育成しようという背景も考えられます。文部科学省は、「子どもたちの英語力を一層充実させることが、教育の急務とされ、アジアの中でトップクラスの英語力を目指すべき」とはっきり示しており、小学校から中学校、そして高校にかけて、英語教育を強化していく流れがあるようです。

共通テストの英語の出題形式による影響

大学入試の1次試験として行われていたセンター試験が、2021年1月から共通テストに変わりました。この時、英語入試の改革が行われており、その影響が中学の入試にも現れています。センター試験よりも単語数が一気に増えて、問題文もすべて英語になっており、初めて共通テストが行われた年の受験生は、かなり戸惑いがあったとの声もあがっています。

それだけ、英語が重視されているということであり、共通テストに向けて、その先の将来のために実力を早くから付けるために、中学においても英語に力が入れられ始めたようです。

英語入試の特徴

悩んでいる外国の子ども

それでは具体的に、英語入試はどのような形式で出題されるのか、難易度はどの程度なのかを説明します。小学5年から6年生にかけて英語を習いますが、学校で学んでいるレベルと、受験生に求められているレベルは一致しているとは限りません。お子さんに英語をどこから教えていくべきか、以下の内容を参考に対策されてください。

出題傾向・形式

実際のところ、英語入試はまだまだ試行錯誤の段階であるため、中学によって出題傾向やレベルは様々です。例えば、正しい単語を選択する形式の筆記試験のみという学校もあれば、リスニングや英作文・スピーキングの試験が課される学校もあります。

特に入試は、英語に限らず、学校ごとに教育方針がはっきりと問題に映し出されるため、いくつかのパターンに絞る、というのは難しいのが現状です。

実際、これまで中学の英語入試で出題されてきた内容に、以下のようなものがあります。

  • 空欄補充(語句の選択、単語を記述)
  • 単語を並べ替えて文章を完成させる問題
  • 単語の意味を問う問題
  • 文法の間違いを見つける問題
  • 長文読解
  • 英文の和訳
  • 英作文の作成(400字程度)
  • リスニング
  • スピーキング(面接で簡単な質問に答えるなど)

項目だけ並ぶと、「覚えさせることが多い、日本語でも苦戦することがあるのに、うちの子は大丈夫だろうか…」と緊張感が走る保護者は多いです。しかし、試行錯誤の段階である分、英語入試は決して、手の届かないような難易度ではありません。

志望校の出題傾向を掴めるように、過去問を解いたり、学校の傾向に合わせた問題集を活用することが一番ですが、英語のレベルは変わる可能性もあります。また、複数校受験を考えているご家庭もあると思いますので、どんな形式でも柔軟に対応できるようにするために、英語はどの分野も幅広く対策しておくことをおすすめします。

難易度

難易度は中学校によって様々ですが、英検4~3級程度の難易度を設定している中学校が多いため、余裕のあるご家庭は英検3級まで対策すると良いでしょう。英語教育に力を入れている中学校や、英語単独の入試を実施している場合は、英検準2級や2級以上の実力を求められることもあります。

英検の公式サイトによると、英検の各級の目安は、以下のようになっています。

1級大学4年程度
準1級大学2年程度
2級高校3年程度
準2級高校2年程度
3級中学3年程度
4級中学2年程度
5級中学1年程度

この目安は、中学校から英語を習った場合のものになるので、実際子どもたちは小学5年生から英語の学習を始めているため、きちんと対策すれば、3級は十分に取得可能なレベルです。

英検にはまず5級から挑戦し、慣れていきながら4級を取得しましょう。4級を持っていると、多くの中学校で試験の際に優遇を受けられます。詳細は次のトピックにて説明します。3級を持っていると中学卒業程度の英語力があることを証明できるため、より優遇を受けやすいですし、その向上心と将来性から、志望校に好印象も与えられます。ぜひ、3級までの取得を目指しましょう。

英語検定を取得するメリット

MERIT

前述の通り、英検を取得していると、中学校によっては受験の際に優遇措置が受けられます。ここでは、英検を受ける3つのメリットを説明します。

試験の時に加点される・学科試験の免除

級を持っていれば、試験の総合点に加点される場合があります。級に応じて加点具合も変わってきます。受験は1点の差で勝負が決まる世界ですから、1点でも多く点を取りたいですよね。英検は受験本番までにお子さんのペースに合わせて挑戦できますし、一度落ちても、何度でも受けられますので、級を持つことは事前に点数を持っておけることから安心感にも繋がります。

また、英検の級を取得していると、学科試験自体を免除してもらえる場合もあります。これはかなり大きいですよね。

ただし加点や免除は、例えば「3級以上取得している者」など条件がありますので、志望校のサイトや募集要項で、必ず条件を確認しましょう。

子どもに自信がつく

英検への挑戦を通して、英語の基礎能力が身に付くだけでなく、無事級を取得できれば、やればできるんだと、子どもの自信に繋がります。特に中学受験が、人生初の受験であれば、合格させて成功体験を積ませたいところです。それ故に緊張も大きくなると思いますが、前段階として英検に挑戦すれば、受験の雰囲気を体験できて、より中学受験本番で堂々と臨むことができます。

入学後の英語学習がスムーズになる

中学受験を期に英検を通してしっかり英語を勉強しておくことで、中学入学後の授業にスムーズについていきやすくなります。特に小学生から中学生に上がる時は、授業のレベルが急に上がることによる中1ギャップを抱える子どもが多いです。また、環境の変化など、ストレスも溜まりやすい中、一段階先の英語を知っておくと、授業に対する壁を感じず学べて、気持ちが楽になるでしょう。

英語4技能の対策方法と合格する3つの対策ポイント

文房具が飛び交う背景の前に立つ女子学生

英語は、4技能(読む・聞く・書く・話す)に分けられ、バランスの良い対策が望まれます。それぞれ具体的に、どのような能力を身につければ良いか、以下にまとめました。

リーディング(読む)英文の意味・内容を理解できるようになりましょう。 英語に慣れないうちは、英単語を見る→日本語に訳する→その内容をイメージして理解していく、という流れになることが多いでしょう。
例えば、「a junior high school student」という英語を見たとき、まず「中学生」と訳した後に、「制服を着た中学生の姿」を頭でイメージする、という感じです。
これでも問題は無いのですが、より読む力を伸ばすためには、「a junior high school student」という英語を見たら、その単語からそのまま、「制服を着た中学生の姿」が浮かぶように、日本語に訳するという工程を無くしていくのがベストです。
リスニング(聞く)リスニングは、読む力の応用のような感覚です。仮に、どんな発音でどんな綴りの単語が流れているのか聴くことができたとして、それを文字に起こすことはできるでしょう。
しかし、肝心の単語や文法の意味を分かっていなければ、答えは導き出されません。 逆に、紙に書かれてある単語とその意味をしっかり勉強していても、流れてくる音声を聴きとれないようであれば、単語の発音の勉強を強化する必要があります。
我が子の場合はどちらのパターンか、見極めて、お子さんに合わせた対策をしましょう。
ライティング(書く)上記2つは、どちらかというとインプット、受け身で取り組む技能になりますが、ライティング、スピーキングは、インプットした知識をアウトプットしていく技能になります。
保護者の皆さん共感して下さるかと思いますが、何事も繰り返しアウトプット=実践することで能力は伸びていきますよね。ということで、ライティングのスキルを伸ばすために、覚えた単語を何度も繰り返し書かせましょう。
闇雲に同じ単語をノートに書くだけでは、子どもは飽きてしまうので、クイズ形式にしたり、イラストと一緒に書いたり、楽しく学ばせることが大事です。
スピーキング(話す)スピーキングは、上記3つの能力を伸ばす過程で、並行して身に着けていくことができますので、お子さんの口から英語を発する時間を多く持たせましょう。
スピーキングは基本、面接試験として出題されるので、「出身はどこですか?」「好きな科目はなんですか」など、簡単な質問を英語でお子さんに出して、お子さんに英語で答えさせてみましょう。
もしそこで、言葉が詰まるようであれば理由を尋ねて「発音に自信がない」「文法が間違っているかもしれない」など原因を突き止めて、原因に合わせて、読む・聞く力の強化をしましょう。

英語4技能それぞれの基本的な伸ばし方については分かりましたが、小学生はとにかく遊びたいお年頃です。そのような中受験を決意してくれたお子さんを応援するために、楽しさを感じながらも、ただ英語の能力を身に付けるではなく、「中学校の英語入試を突破する力」を付けるための対策ポイントを、以下に3つ紹介していますので、活用ください。

単語は1日に覚える数を決める

英単語を覚えないことには、入試の対策は始まりません。日本語でも、知っている言葉・漢字が多ければ多いほど、読める文章の幅が広がるように、英語においてもより多く単語を知ることで、幅広い問題に対応することができます。

そのため志望校や試験形式に関わらず、中学受験の英語入試突破のためには、英単語を多く覚えておくことが必須となります。より効果的な覚え方は、次のポイントで説明します。いきなり難しい単語を見て躓いてしまわないように、まず英検5級程度の、約600語を目安に英単語を覚えていきましょう。

単語の覚え方について、当ブログに寄せ集められた、保護者の皆さんが一番行っている方法は「1日に覚える単語の数を決める」ことでした。数を決めずにひたすら単語を見つめたり書いたりするだけでは、苦行にしかなりません。また、人間1日ですべてを覚えられるわけではないため、その日沢山覚えたとしても、翌日にはほとんどを忘れているものです。

1日10個など、毎日コツコツ、無理なく覚えていける量を決めて、繰り返し練習することが、長期的に見て効果が出やすいです。そうして覚えてきたら、また新しい単語を追加していって、お子さんの様子に合わせて量は増やしていっても良いでしょう。

英語は楽しいと感じさせる環境づくりをする

ITが瞬く間に普及した近年は、学校でもタブレットを使った教育が一般的になりつつあります。家でも今の子どもたちは、当たり前にスマホを使い、動画サイトで英語の教育動画を遊び感覚で見せているご家庭も多いのではないでしょうか。

英語を「学校で習う科目」と位置付けず、遊びのように学んでいけたら、保護者にとっても子どもにとっても良いですよね。そのため、ご家庭で英語を楽しく自然に学べる環境づくりをすることが大切になります。

保護者からの相談を受けて、好評いただいているのが「家中に英単語を散りばめる」作戦です。例えば寝室に「bedroom」、トイレのドアに「bathroom」と書いた紙を貼ります。そうすると、日常の動作の中で、「ベッドに行って眠りたい」と思ったときに、「bedroom」という単語が自然と浮かびやすくなります。単語だけでなく「wash hands(手を洗う)」「clean the bathroom(お風呂掃除をする)」など、「動詞+名詞」のフレーズを貼ると、文章問題が解きやすくなるきっかけにもなるでしょう。

実はこちら、当ブログを運営しているスタッフの家庭で実践されている方法で、スタッフ本人は「英単語が壁に書かれてあるのが、家の当たり前の光景だと思っていた」と話しており、それだけ英単語が日常のものと認識できていたようです。実際、彼は英検準1級を取得したようですので、ぜひ実践されてみてください。

テキストや問題集を活用する

実践的に英語力を身に着けるためには、問題集を解くことが一番です。単語を覚える、話すなどは、単語帳などあれば対策できますが、長文読解や、単語を並び替えて文章を作ることなどに慣れるためには、問題集を活用しましょう。学校から過去問を入手して出題傾向をしっかり掴んだら、当ブログでは、中学校別の問題集を取り扱っているため、こちらに取り組まれることをおすすめします。

合格レベル問題集は毎年多くのお客様にご利用いただき、英語入試に対応した問題集のご要望を多くいただいたため、近日、英語入試突破のための問題集を公開予定です。まずは合格レベル問題集で、算数・国語・理科・社会の科目を対策されて、ぜひ英語対策問題集も追加でご活用ください。

英語入試は受けるつもりで対策すべし!

中学受験の英語入試は、難易度にばらつきがあるものの、英検4級~3級程度を取得していると、受験本番のメリットが多いことが分かりました。英語入試は基本、必須の科目ではないため、必ずしも英語入試を受ける必要はありません。しかし、受験対策を兼ねて十分に英語の勉強をすることは、中学入学後、さらに将来にも活かされますので、ぜひ対策をされてください。

また、中学受験において、筆記試験は皆さん力を入れるものの、面接試験の準備をつい後回しにしがちです。以下の記事では、面接官がチェックするポイントや、頻出質問7つと模範解答を解説していますので、併せて確認されて、早めの対策をしていきましょう。