中学受験は何年前から準備する?今からでも間に合う?

中学受験対策に出遅れたかも やる気次第で間に合う!

「中学受験の準備は何年生から始めれば良いの?」「高学年になってからでは遅いの?」

近年、このような問い合わせを読者の皆様からいただくことが特に多くなりました。

というのも、ここ数年で私立中学に加えて国立や公立中高一貫校の数も増加し、中学受験を目指したいという生徒が多くなっているのです。準備を始める時期について、世間的な情報としては「小学校3年生の2月からが良い」というものがよく呟かれているのですが、「3年生だと早すぎて勉強についていけないのでは?」と懸念する声や、「早い時期に準備するのに越したことはない」など、さまざまな意見があるというのが実情です。

「うちはもう高学年だけど遅いの?」と心配になってしまう親御さん、ご安心ください。受験準備を始める時期は、子どもに合わせることが一番です。そこで今回は、中学受験を始めるタイミングについて、状況ごとに適切な対策方法を解説します。

小学3年生の2月が一般的

勉強する姉妹

中学受験対策を行なっている多くの塾では、小学4年生に進級する前からの開始を想定していますが、受験対策は学年ごとに異なります。ここでは学年ごとの注意点について、説明します。

なぜ3年生の最後に?

中学受験で出題される範囲は多岐にわたり、公立小学校の授業では習わないような問題が出題されることもよくあります。また、単に暗記力や計算力を問うだけではなく、発想力やさまざまな知識を総動員して解く必要がある問題も多いため、3年間で高度な勉強が必要となるわけです。

低学年の間に必要なこと

中学受験に多くの知識が必要であれば、小学3年生よりも前に中学受験対策を行いたいところですが、早すぎても頭が追いつかず、かえって子どもに勉強への苦手意識を植え付ける可能性があります。

低学年で行っておいたほうがいいのは、多くの本を読むことです。読む本は難しい文学などである必要ありません。さまざまな文章を多く読んで、読むことに慣れるのがポイントです。長い文章を読むのが苦手な子どもの場合、問題で問われている部分の前後しか文章を読まないことがあります。その結果、問題の全体像をつかむことができないため、点数が取れないといったこともあるでしょう。

この文章は誰のことをいっているのか、どのような状況に置かれているのかといった文章把握について、本を読み込んでいくとスキルがアップします。長文の読解力を身につけることは国語の成績だけではなく、文章題が出てくる算数やほかの科目全般の成績アップにつながります。

また、旅行や外出先でのさまざまな体験も、知識の習得につながります。この季節にこの植物が生えている、この地域にはこういった食べ物の名物や観光名所があるなど、教科書を読んでも頭に入りにくい理科や社会の知識が、自然と身につきます。

旅行などの特別な体験だけではなく、日常生活を通じても学ぶ機会は多く得られます。お買い物や食事、家事手伝いなど、大人の家族と一緒に体験することで知識を得られるスピードが早くなります。

4年生での注意点

4年生から、受験対策のために勉強をはじめる場合でも、いきなり毎日24時まで勉強するといった大変な受験生活を送るということはありません。まずは塾や家での勉強に慣れるため、小学4年生の段階では塾に通う回数もまだ少なく、宿題もそこまで多くはありません。

授業内容も基礎的な学習を中心として学びます。この時期に学校が終わってから塾へ行き、塾で授業を受け、自宅に帰ってから予習復習をするといったルーティーンに慣れておくことで、5年生の受験勉強をスムーズに進めることができます。

5年生での注意点

5年生になると、塾の勉強についていけないと感じて子どもの学習意欲が削がれ、受験の目的意識を失ってしまう危険があります。そのような場合には、子どもに目標中学の具体的な情報を見せたり、オープンスクールや文化祭などに連れて行って、受験目的を思い出させたりするなど、進学したくなる気持ちを起こすようなアクションを取ってあげましょう。

また、塾によっては学習相談を行なっている場合もありますので、なぜ成績が下がっているのかというテクニカルな理由だけではなく、不調を感じたときはどうすればいいのかといったメンタル面での相談を持ちかけてもいいでしょう。

早すぎた場合のデメリット

授業を受ける子どもたち

受験勉強の開始は早ければ早いほど有利に働くことはありますが、一方あまりにも受験勉強の期間が長すぎると、途中で息切れを起こす可能性があるため、要注意です。

本人のやる気が出にくい?

低学年の段階で学校の宿題以外の勉強が多いと、モチベーションを維持するのは非常に難しいもの。早い時期に受験勉強をはじめる場合、子どもがもともと勉強好きだということも考えられますが、基本的には親御さんが主体となって中学受験を決意するケースが多いでしょう。

そうすると子どもは「どうして自分だけがこんなに長時間勉強しなければならないのか。もっとほかの子と同じように遊びたい」と感じるかもしれません。なかには「親が勝手に決めたことだから勉強をしているけど、本当は辞めたい」と思っている場合があるかもしれません。

早い時期から受験勉強をスタートし、長い期間継続するために必要なのは、子ども自身が中学に入りたいという意思です。親御さんのサポートやモチベーションを維持させるためのフォローは必要ですが、本当に子ども自身が続ける気持ちがあるのか、そもそも中学受験をする意味が本当にあるのか、ときどき確認しましょう。

長期間だと負担が大きい

低学年の段階で受験勉強をはじめるのは、学習時間を多く取れるという点でアドバンテージはあるものの、多額の費用がかかり、親子ともにより多くの負担がかかります。私立中学は授業料が公立中学と比べてかなり高いですが、通塾の場合はさらに多くの費用がかかります。

塾は、学年が上がるに従って月々の授業料も高くなり、夏期講習や冬期講習、模擬試験の費用も加算されていきますので、あらかじめ年間でどれぐらいの費用がかかるのかは押さえておきましょう。

中学受験に失敗する子どもの特徴や原因は、当ブログの「中学受験に失敗する子どもの特徴や原因とは?合格への成功対策も解説」という記事に詳しく載っていますので、そちらも参照してください。

5年生、6年生からでも間に合う?

ゴールに向けて進む人

「最近になって中学受験に興味が出てきたが、もう子どもが5年生になっている」、「あと2年近くあるのだから、本気を出して勉強に集中すれば受かるのではないか」といった思いがあるかもしれませんが、実際に2年前から開始して中学受験は間に合うのでしょうか。

どんな子なら大丈夫?

中学受験の準備開始は一般的に4年生になる直前が多いですが、「多い」というだけで、絶対ではありません。

「あまり勉強をしていなくても、学校のテストの点数がいい」、「家庭学習の習慣が身についている」というように、ポテンシャルが高い場合は、5年生以降にスタートしても十分間に合わせることができます。長期間の受験勉強に挑むよりも途中で燃え尽きるリスクは少ないでしょうし、2年間でも十分勉強ができる子どもも、もちろんいます。

しかし、5年生になってはじめて受験勉強対策をはじめたという子どもを、一般的な3年生の2月から受験勉強を開始したという子どもと比べると、1年の差があるのは否めません。その遅れを挽回するためには、人よりも多くの時間を勉強に費やしながらも、効率のいい方法で勉強する必要があります。

そのためには、塾や教材などもさることながら、親御さんの朝晩のサポートが必要であるとともに、「絶対に受かるんだ」という本人の意思が必要です。

また塾や教材を選ぶ際は、子どもが覚えやすいかどうか、どのようなカリキュラムになっているのか、5年生から入った生徒で合格実績はどれぐらいあるのかといった質問について、あらかじめ塾に確認しておきましょう。

遅れを挽回するには?

スピードを上げて勉強する場合は、集中的に勉強ができ、個人の特性に合った勉強を行なう必要があります。マンツーマンで授業を行なう塾や家庭教師なども考慮に入れておきましょう。

5年生からでも不可能ではない!

早い時期に中学受験を決めている家庭では「3年生の2月」から受験対策をスタートすることが多いようですが、周りと一緒に歩調を合わせる必要はありません。

5年生以降に中学受験を決めたとしても、それぞれの子どもの適正や学力に合わせ通塾や毎日の学習時間の確保が重要です。受験勉強のタイミングはそれぞれにちがっていても、合格を目指すのは不可能ではないので、家族全員で子どものサポートを行いながら、中学受験の成功を目指しましょう。

「入試直前まで点数アップをあきらめたくない!」と熱意のある方は、以下の記事をご覧ください。子どもの学力アップのために親ができる6つのポイントについて詳しく解説しています。