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学校推薦型選抜は、一般入試と比べて制度上さまざまな違いや種類がいくつかあり、理解しづらい点があります。
学校推薦型選抜は大学入試に関する制度の1つで、以前は推薦入試と呼ばれていました。一般入試と比べて制度上さまざまな違いがある上に、受験するのにあたっての前提条件があったり、受験内容も学校によって大きく異なったりと、理解しづらい点があります。
今回は学校推薦型選抜の仕組みや他の制度との違い、実際に合格率はどれぐらいなのかについてご紹介します。
学校推薦型選抜の仕組み
学校推薦型選抜で大学受験をしようとする場合は、事前のさまざまな準備が必要となります。ここでは、学校推薦型選抜の出願に必要な条件や選考方法について説明します。
出願条件が決まっている
学校推薦型選抜には出願条件が設けられています。主な条件は以下の通りです。
- 高校時代の学業成績や卒業年度(浪人生も対象となるか否か)
- 併願が可能かどうか など
学業成績は最も重要な条件であり、調査書の「全体の学習成績の状況」か「学習成績概評」で最低ラインが設けられています。
評価基準はどうなっている?
評価の基準はどうなっているのでしょうか。前述した調査書の内容について説明します。
・全体の学習成績の状況
履修した全科目の5段階評価を平均した数値(小数第1位まで算出)を表す
・学習成績概評
学習成績をもとに、AからEまでの5段階評価で割り当てられるもの
5段階の評価の付け方はもとより科目ごとの計算をどのようにして行うのか、その方法は学校によって異なるため確認が必要です。また、高校1年生の成績からが集計対象となるため、入学してからコツコツと勉強し、コンスタントに良い成績を取っておく必要があります。
試験の内容は?
学校推薦型選抜の選考方法について、最もオーソドックスなものは、以下の3つです。
- 書類審査
- 小論文(作文)
- 面接
大学によっては書類審査だけで通るケースもありますし、別に学力試験や実技試験を課すケースもあります。
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公募推薦と指定校推薦の2種類
学校推薦型選抜には、大きく分けて指定校推薦と公募推薦の2つがあります。ここでは、それぞれの仕組みについて説明します。
指定校推薦
指定校推薦(または指定校制推薦)は、大学からそれぞれの高校に推薦枠を割り当て、受験を行うという方式で、かなりの高確率で合格できるのが特徴です。特に私立大学で実施されている方式であり、過去の進学実績に基づいて推薦枠が割り当てられています。
ただし、推薦枠は多くても数人程度とかなり少ないため、推薦を取るまでが難しい方式といえます。
公募推薦
公募制推薦(または一般推薦)は、大学側の出願条件と高校の推薦条件を満たした人が、学校長から推薦状をもらって受験する方式です。こちらは国公立・私立に関係なく広く実施されています。
指定校推薦のような推薦枠による人数の制限はなく、条件を満たせば誰でも受験可能ですが、入学人数には限りがありますので、人気のある大学・学部だと倍率が高くなり、必ず合格できるとは限りません。
国公立と私立で選抜方法に違いが
ひと口に学校推薦型選抜といっても、私立大学と国公立大学で受験内容や合格者人数などは大きく異なります。
私立大学の選抜方法
私立大学の入学者のうち、学校推薦型選抜と総合型選抜が占める割合は5割程度となるほど高いものです。出願要件はあまりハードルが高くないのが特徴ですので、国公立大学と比べて比較的合格しやすいといえます。
また、私立大学ではスポーツ推薦や特定資格者推薦、課外活動推薦など、バリエーションが豊富です。
・特定資格者推薦
民間の語学検定や日商簿記などの専門知識に関する資格を持つ受験生が優遇される制度
・課外活動推薦
生徒会活動や部活動、ボランティア活動などを行った人を対象にした選抜制度
課外活動推薦では、コンクールや各種大会の成績もポイントとなります。そのため、学校の成績だけではなく、学生時代の活動も重要視されます。
国公立大学の選抜方法
私立大学だけではなく、多くの国公立大学でも学校推薦型選抜を実施しています。ただし、私立大学に比べて募集人員が少ないうえに、出願条件のうち全体の学習成績の状況が4.0以上など、かなり厳しい成績基準を設けています。さらに共通テストを課すケースもありますので、その場合は私立大学の一般的な学校推薦車選抜とはスケジュールが異なります。
また、2021年度の入試からは、受験者が自らの考えに基づき論じたものを記述する小論文だけではなく、プレゼンテーションや口頭試問、学科テストや実技、資格試験の成績など、多方面の学力を確認する評価を必ず実施することになっています。最新の受験情報について確認が必要です。
学校推薦型選抜の専願・併願に関しては、当ブログの「学校推薦型選抜は併願できる?高校や志望大学へ確認してみよう」という記事に詳しく載っていますので、そちらも参照してください。
他の制度との違いは何か
大学の入試制度は、学校推薦型選抜だけではなく、一般入試や総合型選抜などもあります。ここでは他の入試制度との違いについて説明します。
学校推薦型選抜と一般入試の違い
一般入試との大きな違いは昔から変わりませんが、一般入試は誰でも受けられるということと、学校の成績は直接関係なく、一発勝負という点です。
一般入試は共通テストを含めて3日間の試験だけで合格が左右されるというリスクがありますが、高校1年生の時の成績が悪くても最後に逆転可能ともいえます。
学校推薦型選抜と総合型選抜の違い
総合型選抜はかつてAO入試と呼ばれていたもので、受験生が提出するエントリーシート以外に、面接や論文、プレゼンテーションなどを行い、学力だけではなく能力・適性や学習意欲などを、時間をかけて総合的に評価する方式です。
学校推薦型との大きな違いは、合格の判断に時間をかけるのが特徴です。複数回の面談を行う場合もありますし、プレゼンやグループディスカッションなど、合格者の選抜に対して複数の手法を用いています。
落ちる確率はどれぐらい?
学校推薦型選抜は、一般入試と比べて合格率が高いイメージがありますが、上述の通り指定校推薦はほぼ合格するものの、公募型推薦は合格しない場合も多々あります。では、実際に、倍率はどれくらいなのでしょうか。
学校推薦型選抜の合格率は?
学校推薦型選抜について、一例として横浜国立大学を挙げると、2021年度は教育学部の学校教育養成課程は5.1倍、経営学科は3.0倍と、決して低くありません。私立大学に関しても、大学や学部によりますが、軒並み2〜4倍程度を示している所が少なくありません。
公募推薦で落ちる理由
公募推薦で落ちる原因は、主に「大学が求める人物像と本人の間にかい離があった」、「受験に対しての準備不足」、「他の受験生よりも小論文や面接の評価が低かった」ことが挙げられます。
一般入試と比べて小論文や面接といった、一見、対策のしようがない受験内容であることや、あまり対策をしなくても受かるだろうといった過信が、落ちてしまう原因といえます。また、学力をメインとした試験では問われることがありませんが、受験をする大学の校風や理念などをよく理解していなければ、落ちてしまうことになります。
学校推薦型選抜は倍率が低めだが狭き門
今回は学校推薦型入試の特徴や他の制度との違いについて説明しました。
学校推薦型だと一般入試よりも合格しやすいというわけではありません。また、学校の成績によっては推薦が受けられないことにもなりかねませんので、もし学校推薦型入試を受けるつもりであれば、高校に入学した時から受験は始まっていると考え、不断の努力が必要であると心得ておく必要があります。
また、学校推薦型入試で残念ながら不合格となった場合でも、すぐに気持ちを切り替えて一般入試に向けた勉強を進められるよう、あらかじめ一般入試のことも念頭に置いたうえで受験スケジュールを立てましょう。