大学編入の文系・理系それぞれの特徴は?難易度や倍率も合わせて解説

文系・理系の特徴を解説 一般入試よりハードルは高い?

↓ 本記事の内容をざっくり4分で解説しています ↓

文学部から医学部を目指すなど、大学編入は文系から理系、理系から文系学部への編入も実現可能です。ところが、大学編入試験は一般試験と異なりより専門的な知識が求められます。文系、理系の特徴をふまえた対策が必要です。

今回は大学編入試験の文系、理系それぞれの試験内容や実施時期などの特徴、編入試験の対策方法、難易度や倍率をご紹介します。大学編入試験の実施実績のある大学についても触れていますので、編入を希望する大学や学部の選定にもぜひ役立ててください。

大学編入が検討される5つのパターン

タブレットとノート

大学へ入学する方法は一般入試を受ける以外にも、2年次または3年次に編入する方法もあります。大学への入学として一般入試ではなく、大学編入を検討されるパターンには、以下の5つがあります。

  • 学部の変更
  • 大学の変更
  • 短大、専門、高専後の進路
  • 大卒資格の取得
  • 学び直し

それぞれのパターンについて解説します。

学部の変更

将来の進路や勉強したい内容、自分の適正などをふまえて現在在籍している学部から他の学部へ移りたい場合、「転籍」または「編入」を選択することになります。現在在籍している大学にある学部への転籍を希望し、条件を満たしている場合には大学を変更することなく学部の変更が可能です。一方現在在籍している大学で転籍を認めていない、または大学にない学部へ移りたい場合には、編入が選択肢となります。

「文学部から医学部」「工学部から経済学部」など文系から理系、理系から文系へ学部を変更したい人もいるでしょう。大学編入を利用することで、文系から理系、理系から文系への学部変更も実現できます。

大学の変更

「一般入試で第一志望に落ちてしまった」「あの大学で学びたい」など、いろいろな理由で在籍している大学から他の大学へ移りたい場合は、一般入試を受け直す方法と編入試験を受ける方法があります。

一般入試を受け直す場合、現在の大学を退学し一般入試で他大学へ入学することになります。一般入試は大学1年生からの入学となるため、卒業が遅くなるデメリットがあります。編入試験は2年次または3年次から他の大学へ入学できるため、大学を移ってもトータル4年で卒業できるのがメリットです。

短大、専門、高専卒後の進路

短大や専門学校、高等専門学校を卒業後の進路として大学編入を希望するパターンもあります。就職を希望する職種で大卒資格が必要、短大や専門学校で学んだ内容をより専門的に勉強したいなど、編入する理由はさまざまです。

大学編入を利用すれば、短大や専門、高専で取得した単位を活かして2年次または3年次からの編入が可能です。卒業後に一般入試を受け大学へ入学するよりも、早く卒業できるメリットがあります。

大卒資格の取得

中退などで取得した単位はあるものの、大卒資格を持っていない場合条件を満たしていれば大学編入試験が受験できる場合があります。大学卒業資格である学士を取得するために、大学編入を目指すパターンもあるでしょう。

学び直し

すでに大学を卒業している人も、大学の編入は可能です。文系の学部を卒業、理系の学部を学ぶために編入試験を受ける、またはその逆もできます。社会人が仕事のためのスキルや知識を身に付けるための学び直しとして、大学編入を選択するパターンもあります。


大学編入の文系・理系それぞれの特徴を比較

読破した本

大学編入を目指す理由は人それぞれによって異なりますが、文系から理系、理系から文系と異なる分野を学ぶ目的で大学編入を目指すこともあります。大学編入を成功させるには、文系と理系それぞれの特徴をふまえた準備や対策が必要です。大学編入の文系、理系それぞれの特徴を比較しながら解説します。

編入試験の実施時期

大学編入試験の実施時期は大学によって異なりますが、文系、理系それぞれで以下の傾向があります。

  • 文系…5~8月募集要項の公開、8~11月編入試験実施
  • 理系…3~5月募集要項の公開、6~8月編入試験実施

募集要項は編入試験実施日の2~3か月前に公開する大学が多いです。大学によって、編入試験を実施する学部は異なり、年度によっては募集が停止される場合もあります。自分が受験を希望する大学の情報をつねに確認するようにしましょう。

試験内容

大学編入試験は、文系・理系ともに以下の内容となっています。

  • 英語
  • 専門科目
  • 小論文
  • 面接

一般入試で国公立大学を受ける場合、大学入試共通テストをふまえて5科目の勉強が必要です。私立大学の場合も文系なら英語、国語、地歴公民(選択)、理系なら英語、数学、理科(選択)と複数の科目の対策をしなければいけません。一方、大学編入試験は文系、理系ともに英語+受験する学部に関する専門科目のみとなっています。

一般的な内容を記述する小論文や面接も編入試験で実施する大学もあります。

難易度

大学編入試験は、文系・理系とも一般入試と比べると以下の理由から難易度は低いと考えられます。

  • 国公立の併願ができる
  • 対策する科目が少ない
  • 英語の外部資格が活かせるところもある

一般入試では国公立大学の併願ができませんが、大学編入試験は国公立大学の併願が可能です。もちろん私立大学も併願できます。対策が必要な科目は英語+受験する学部に関する専門科目のみのため、一般入試のような浅く広い勉強も不要になるでしょう。

大学編入試験の英語は、TOEICやTOEFL、英検を参考にした内容が出題される場合もあります。すでにTOEICやTOEFL、英検などを受験した経験がある人は、大学編入の英語対策にTOEICやTOEFL、英検での受験経験が活かせます。

ただし、一般入試と比較すると以下の理由で難易度が上がる場合があります。

  • 専門的な知識を得る勉強が必要
  • 他学部の併願がしにくい
  • 希望する大学や学部で編入試験を実施しない
  • 募集人数が少ない

専門的な知識を得る勉強が必要

一般的に大学編入試験で出題される専門科目は、マークシートによる選択式や一問一答式ではなく、記述式です。2年次編入なら大学1年生まで、3年次編入なら大学2年生までの知識が求められるため、より専門的な内容を学習し、対策をしなければいけません。

他学部の併願がしにくい

専門科目への勉強が必要になる分、他学部の併願がしにくくなります。たとえば一般入試で国公立と私立を併願受験する場合全教科カバーできるため、併願する学部の選択肢は広くなります。

一方編入試験の場合は「英文学部なら英文学について」「法学部なら法律について」の知識が求められるため、文系学部同士でも他学部の併願は難しいと考えておきましょう。

希望する大学や学部で編入試験を実施しない

試験内容以外で大学編入の難易度を上げているポイントは、一般入試を実施している大学でも、大学編入制度を設けていない大学があることです。

また、大学で設置しているすべての学部が対象ではなく「医学部のみ」「看護学部のみ」など特定の学部のみ編入対象となっている大学もあります。大学によっては2年次や3年次編入はなく、大学卒業後の「学士編入」のみを設けていることもあります。

募集人数が少ない

最後に、一般入試よりも大学編入試験での募集人数が少ないことです。試験の内容以外で難易度を高くする要因が多いのも、大学編入試験の特徴といえます。

倍率

大学編入試験の文系・理系を合わせた全体の倍率の推定は2.4倍です。一般入試における私立大学全体の倍率3~4倍と比較すると、倍率は低くなっています。

ただし、前述のとおり専門的な知識が必要、募集人数が少ないなどのポイントから、しっかりと準備をしなければ合格するのは難しいといえるでしょう。

編入試験対策

大学編入試験の文系、理系それぞれの試験対策に必要なことをまとめました。

対策

文系

理系

科目対策

文系英語

文系専門科目(法・政治・経済・経営・社会・心理・教育学など)

文系小論文

理系英語

理系専門科目(数学・物理・生物・化学など)

理系小論文

その他必要な対策

志望動機(エントリーシート)

面接

文系・理系ともに英語の対策は必要になりますが、文系は教育や経済、理系は自然や環境など受験する学部に関する問題が出題される傾向にあります。文系、理系ともに受験する学部に応じた英語対策を行いましょう。

専門科目は、学部に関する専門的な知識を記述する方式です。専門科目分野の小論文として出題される大学もあれば、専門科目と別に一般的な内容での小論文が出題される大学もあります。

編入試験で提出するエントリーシートには志望動機を書きます。志望動機は面接でも聞かれるため、編入する目的や将来の展望などについても明確にしておきましょう。

具体的な編入学試験の概要を知りたい方は、当ブログの「大学編入を目指す!編入学試験の概要や面接対策のポイントを解説」という記事に詳しく載っていますので、そちらも参照してください。

大学編入試験実績のある大学一覧

大学の正面玄関

大学編入試験の実績がある主要大学を地方ごとにまとめました。編入する大学選びにぜひ役立ててください。

地域

種類

大学名

北海道

国立大学

北海道大学、北海道教育大学、小樽商科大学、室蘭工業大学、帯広畜産大学、北見工業大学

私立大学

北海学園大学、北星学園大学、酪農学園大学、札幌大学

東北地方

国立大学

弘前大学、岩手大学、東北大学、秋田大学、山形大学、福島大学

公立大学

秋田県立大学

私立大学

東北学院大学、盛岡大学、東北福祉大学、郡山女子大学

関東地方

国立大学

茨城大学、筑波大学、宇都宮大学、群馬大学、埼玉大学、千葉大学、お茶の水女子大学、電気通信大学、東京大学(学士)、東京海洋大学、東京外国語大学、東京工業大学、東京医科歯科大学、東京農工大学、横浜国立大学

公立大学

高崎経済大学、前橋工科大学、埼玉県立大学、東京都立大学

私立大学(難関)

早稲田大学、慶應義塾大学、上智大学、国際基督教大学、明治大学、青山学院大学、立教大学、中央大学、法政大学、学習院大学、明治学院大学

私立大学(理系)

東京理科大学、芝浦工業大学、東京都市大学、東京電機大学、工学院大学、東邦大学、北里大学、東京農業大学、東京工科大学、千葉工業大学

私立大学(中堅)

日本大学、駒澤大学、東洋大学、専修大学、武蔵大学、獨協大学、國學院大学、大東文化大学、東海大学、亜細亜大学、帝京大学、国士舘大学、神奈川大学、文教大学、玉川大学、東京経済大学、立正大学、大正大学、関東学院大学、桜美林大学、東京国際大学、和光大学、二松学舎大学、杏林大学、創価大学、武蔵野大学、日本社会事業大学、神田外語大学、明星大学、麗澤大学、淑徳大学、明海大学、文化学園大学

私立大学(女子大)

津田塾大学、東京女子大学、日本女子大学、聖心女子大学、フェリス女学院大学、学習院女子大学、白百合女子大学、清泉女子大学、東洋英和女学院大学、共立女子大学、実践女子大学、跡見学園女子大学、昭和女子大学

中部地方

国立大学

新潟大学、信州大学、長岡技術科学大学、山梨大学、静岡大学、浜松医科大学、名古屋大学、豊橋技術科学大学、名古屋工業大学、富山大学、金沢大学、福井大学、岐阜大学

公立大学

都留文科大学、山梨県立大学、名古屋市立大学

私立大学

南山大学、愛知大学、金城学院大学、椙山女学園大学、金沢工業大学、福井工業大学、仁愛大学、常葉学園大学、松本大学

近畿地方

国立大学

三重大学、滋賀医科大学、滋賀大学、京都大学、京都工芸繊維大学、大阪大学、大阪教育大学、奈良女子大学、神戸大学、和歌山大学

公立大学

大阪市立大学、大阪府立大学、京都府立大学、兵庫県立大学、滋賀県立大学

私立大学

関西大学、関西学院大学、同志社大学、立命館大学、京都産業大学、近畿大学、甲南大学、龍谷大学、関西外国語大学、京都外国語大学、摂南大学、神戸学院大学、追手門大学、桃山学院大学、京都女子大学、神戸女学院大学、甲南女子大学、神戸松蔭女子大学、大阪経済大学、大阪産業大学、大阪商業大学

中国地方

国立大学

鳥取大学、島根大学、岡山大学、広島大学、山口大学

公立大学

島根県立大学、公立鳥取環境大学、尾道市立大学、下関市立大学

私立大学

広島国際大学、比治山大学、広島修道大学、吉備国際大学

四国地方

国立大学

徳島大学、香川大学、愛媛大学、高知大学

公立大学

高知工科大学

私立大学

松山大学、徳島文理大学、聖カタリナ大学

九州・沖縄地方

国立大学

九州大学、九州工業大学、長崎大学、佐賀大学、大分大学、熊本大学、宮崎大学、鹿児島大学、鹿屋体育大学、琉球大学

公立大学

北九州市立大学、福岡県立大学、名桜大学

私立大学

西南学院大学、福岡大学、九州産業大学、久留米大学、福岡工業大学、長崎純心大学、立命館アジア太平洋大学、鹿児島純心女子大学、鹿児島国際大学、志學館大学、沖縄国際大学、沖縄大学

文系・理系の大学編入できる大学を調べよう

大学編入が検討されるパターンをふまえて、文系・理系の大学編入における特徴の比較や編入できる大学を解説しました。大学編入は一般入試よりも倍率が低く、勉強する範囲が狭い特徴がある一方、専門的な分野の知識が求められる、他学部の併願がしにくいなどの難易度が高くなるポイントもあります。

過去問や参考書を活用するなどして、しっかりと対策をしましょう。編入試験実績がある大学でも、年度によって募集を停止する場合があるため、合わせて確認しておくのが重要です。