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高専は、高校と同じく中学校卒業後に進学できる学校で、全国各地に57校が設置されています。一般の高校と比較しても高専は偏差値が高いとされているため、専門分野を極めるためにぜひ進学したいところ。ですが一番に気になるのは、倍率ですよね。高専への進学を目指すなら、早めに受験対策をしておくことが大切です。
今回は、全国にある高専の偏差値や入試倍率、高専を選ぶポイントをご紹介します。
そもそも高専とは?
高専は、高等専門学校のことで、中学卒業後に5年間をかけて専門的かつ実践的な技術が学べる学校です。2022年度時点で国立が51校、公立が3校、私立が3校と計57校の高専が全国各地に設置されています。
一般的な高校が3年で卒業できるのに対し、高専は「5年一貫教育」で学ぶことが最大の特徴です。国語や数学、英語などの一般科目に加え、通常の高校では習得が難しい専門性の高い実践的なスキルを身に付けるためのカリキュラムが敷かれているため、バランスよく学べます。
高専は技術者の人材育成が目的
高専では、主にITエンジニアやプログラマなど理系分野における技術者の人材育成を目的としており、座学に加え、さまざまな実験や演習がカリキュラムに含まれています。
また、高い技術力を活かした「ロボットコンテスト」や「プログラミングコンテスト」などの大会も開催されており、全国規模で技術を競い合ったり国際交流を図ったりすることも可能です。
高専では15歳という早い段階から、工学分野を中心に専門的な知識を身に付けることができることから、就職や大学進学を見据えて、将来やりたいことや極めたい分野がはっきりしている人に適した学校といえます。
卒業後は就職も進学も可能
高専では各分野において専門的な知識と実践的なスキルを身に付けられるため、卒業後は高い就職率を誇っています。国立高専においては、就職希望者の就職率が2015年以降ほぼ100%となっており、製造業をはじめ情報通信業や建設業などさまざまな分野の現場で即戦力として活躍することができます。
また、高専を卒業すると「準学士」の称号が付与されるため、就職だけでなく大学への進学も可能です。大学3年次に編入ができるため、国立高専においては、2015年以降、進学希望者の進学率は97%前後と、就職率と同様に高い水準となっています。
高専の偏差値や入試倍率は?
高専の偏差値は、一般の高校と比較しても高い数値を誇る学校が多くなっています。偏差値は、志望校を選ぶための指標となる数値ですが、実際のところその学校の授業レベルまでは偏差値で判断するのは難しいです。偏差値についてはあくまでも、合格するための目安として考えておきましょう。
全体的に偏差値は高め
全国にある高専の偏差値は以下の通りで、偏差値60台の学校が多くなっています。高専によっては、学科別で偏差値に差があることがあるため、事前に調べて参考にしましょう。
偏差値 | 学校名 |
67 | 明石工業高等専門学校、奈良工業高等専門学校、徳山工業高等専門学校、久留米工業高等専門学校 |
66 | 群馬工業高等専門学校、大分工業高等専門学校 |
65 | 石川工業高等専門学校、岐阜工業高等専門学校、沼津工業高等専門学校、鈴鹿工業高等専門学校、北九州工業高等専門学校、佐世保工業高等専門学校、熊本高等専門学校熊本キャンパス、鹿児島工業高等専門学校 |
64 | 仙台高等専門学校、東京工業高等専門学校、長野工業高等専門学校、豊田工業高等専門学校、大阪府立大工業高等専門学校、神戸市立工業高等専門学校、和歌山工業高等専門学校 |
63 | 苫小牧工業高等専門学校、函館工業高等専門学校、八戸工業高等専門学校、福島工業高等専門学校、茨城工業高等専門学校、富山高等専門学校、呉工業高等専門学校、有明工業高等専門学校、都城工業高等専門学校 |
62 | 木更津工業高等専門学校 |
61 | 旭川工業高等専門学校、釧路工業高等専門学校、小山工業高等専門学校、東京都立産業技術高等専門学校(品川キャンパス・荒川キャンパス)、舞鶴工業高等専門学校、阿南工業高等専門学校、香川高等専門学校高松キャンパス、新居浜工業高等専門学校 |
60 | 富山高等専門学校、福井工業高等専門学校、熊本高等専門学校八代キャンパス、沖縄工業高等専門学校 |
59 | 一関工業高等専門学校、長岡工業高等専門学校、米子工業高等専門学校、松江工業高等専門学校、宇部工業高等専門学校 |
58 | 秋田工業高等専門学校、鶴岡工業高等専門学校、近畿大学工業高等専門学校、津山工業高等専門学校、高知工業高等専門学校 |
55 | 大島商船高等専門学校 |
54 | 富山高等専門学校 |
52 | 広島商船高等専門学校 |
51 | サレジオ工業高等専門学校 |
50 | 弓削商船高等専門学校 |
49 | 鳥羽商船高等専門学校 |
47 | 国際高等専門学校 |
上記表の偏差値は、複数の偏差値データから割り出した平均値・概算値です。
高専の入試倍率も高くなる傾向にある
高専を受験するにあたり、合格の可能性を判断する上で大切なのが入試倍率です。「入試倍率=受験する人の数÷募集定員」で求められるため、倍率が大きいほど合格が難しくなります。
一般の高校では倍率の平均が約1.0倍となっているのに対し、高専の平均倍率は約2倍と高めとなっているため、やや難易度が高い傾向にあります。また、高専では受験時に学科を第2希望や第3希望まで選択できるため、入試倍率を参考に受験学科を考えることもできます。
倍率は、各高専の人気度や、学科などにより倍率が異なるほか、その年により変化する場合が多くなっています。例えば、豊田工業高等専門学校の場合、2021年度の機械工学科の倍率は2.6倍である一方で、情報工学科は4.3倍となっており、学科によって倍率が全く異なります。過去数年の倍率から傾向を把握し、自分にあったレベルの学科を探すため、各高専の情報を調べておきましょう。
高専の偏差値は就職に影響を与える可能性も
偏差値はあくまでも、志望する高専に合格するための指標の一つであるため、偏差値だけでその学校の良し悪しを全て判断することは不可能です。しかし、偏差値の高さはそれなりの知識や技術が学べる学校だと判断される傾向にあるため、偏差値の高い学校ほど企業から注目される可能性が高くなると考えられます。
そのため、偏差値が高い高専の方が企業からの信頼も厚くなり、少なからず就職に影響を与える可能性があると考えて良いでしょう。
高専の入試対策に関しては、当ブログの「高専の入試対策!高校と違う点や入試方法など重要なポイントをまとめ」という記事に詳しく載っていますので、そちらも参照してください。
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高専を選ぶポイントとは?
一般の高校が3年間で卒業できるのに対し、高専は卒業まで5年間同じ環境で勉強を続けることになります。入学してから、思っていたのと違ったということがないように、志望する学科かコースをはじめ、学校の環境など、総合的によく考えて志望する高専を選びましょう。
自分が極めたいと思う学科やコースを選ぶ
高専では5年間をかけてその分野の専門的な知識や技術を学ぶため、選んだ学科やコースの専門領域に興味がなければ通い続けることが難しくなります。工業系では主に次のような学科があるので、自分が興味のあることや、好きなことができそうなところを選びましょう。
学科 | 学習内容 |
機械工学科 | 機械部品に使われる材料から機械の設計、組み立て、操作など、機械工学に関する基礎から開発に必要とされる専門知識や技術を学べる |
電気工学科 | 電気技術者として活躍するために、情報通信や電子物性、エネルギーなど、電気に関する総合的な知識や技術を学べる |
物質工学科 | 物質の性質や有機、無機、高分子物質の合成、分析、物性測定など、化学を主体として生物学や物理学などを学べる |
情報工学科 | コンピュータや通信ネットワークをはじめ、データベース構築や探索、システム制御など情報処理技術者としての知識や技術を学べる |
建築学科 | 図形や模型の制作からCADやCGの活用、建物の設計から構造、資材についてなど、建築についての専門知識を学べる |
学校や授業の特性を調べておく
学科やコース選びに加え、授業の質はもちろん、実験施設、研究施設など設備の充実度も5年間学ぶ際に把握しておきたいポイントです。環境が整っているほど、幅広い実験や研究が可能となるため、高い技術力を身に付ける上で自分にとって良い環境で学べる学校を選びましょう。
また、高専は大学のような自由な校風である場合が多いため、実際に足を運んで学校の雰囲気を見ておくとしっかりと把握できます。オープンスクールに参加したり、文化祭などのイベントに行ってみたりなどして、気になる高専があれば実際に足を運び、自分の目で学校の雰囲気を確認しておきましょう。
高専への進学を検討するなら偏差値を参考に
高専の受験を考えるうえで、偏差値や入試倍率は大切な指標の一つとなります。偏差値だけで授業の質などを推し量ることは難しいため、入学してから5年間、卒業までしっかりと勉強を続けられるのかということに重点を置いて高専選びをすることが大切です。
ものづくりに興味があったり、ITエンジニアやプログラマなどの仕事に興味があったりなど、極めたい分野がある方は、進路の選択肢として高専を検討してみませんか。