小学校の受験ではどんな問題が出る?試験内容を解説!

ノンペーパーテストとは? 傾向を掴んで対策を練ろう

小学校受験では、問題を解くペーパーテストによる入試から、行動観察などノンペーパーによる入試まで実施されています。小学校受験の入試は暗記による突破が難しいため、受験を希望する小学校が出題する入試形式に沿った対策が求められます。

今回は、小学校受験の入試対策に役立てていただくために、小学校受験のペーパーテスト、ノンペーパーテストそれぞれの入試で出る問題の内容や対策方法とともに、近年の出題内容の傾向を解説します。

小学校受験のペーパーテストの内容と問題例、対策方法

鉛筆とピンクの用紙

小学校受験の入試にペーパーテストがある場合、おもに以下の5つの領域から問題が出題されます。

  • お話の記憶
  • 図形
  • 常識
  • 言語

出題される問題によって対策方法は異なります。小学校受験のペーパーテストの内容を問題例と対策方法とともに解説します。

お話の記憶の問題と対策

「お話の記憶」とは、長いお話が口頭や放送で読み上げられた後、お話の内容に沿った質問が出題される形式です。小学校受験をする子どもの中には、まだ字が書けない子どももいるため、解答は配られたプリントの中で合致するものに丸を付ける、という方式が多いです。

お話の記憶の問題例には、以下のものがあります。

  • 「○○さんのお父さんはどの人ですか?」(登場人物の容姿や特徴に対する質問)
  • 「○○さんは何をしましたか?」(登場人物の行動を問われる質問)
  • 「箱の中にりんごはいくつありましたか?」(数を問われる質問)
  • 「3番目にバスへ乗ってきたのは誰ですか?」(順序を問われる質問)

お話の記憶の対策方法としては、長い話を集中して聞けるようにすることです。長い話の内容を正確に記憶するのは大人でも難しいでしょう。そのため、お話の記憶の質問に対して正確に答えるには、記憶力ではなく理解力や推理力が求められます。

話の内容を理解し、推理する上で集中して聞く力を身に付けることが重要です。

図形の問題と対策

図形の問題は、小学校受験の入試でも多く出題されています。図形の問題例には、以下のものがあります。

  • 鏡に映した文字や図形の見え方を考えさせる「鏡図形」
  • 上下左右に回転した図形の向きを考えさせる「回転図形」
  • 折り紙を折った時の形や切り抜いた形を予想させる「線対称」

図形問題では、空間認知能力が求められます。平面の線や図だけでなく、展開図など図形の目に見えない部分も把握できる能力が必要です。普段から積み木やブロック、折り紙などを使って3次元の図形に慣れておく対策が有効になります。

数の問題と対策

数に関しては、以下の問題が出題されています。

  • 「りんごはいくつありますか?」(書かれているものの数を数える問題)
  • 「りんごとみかん、どちらがいくつ多いですか?」(書かれているもの同士の数を比べる問題)
  • 1+1、6-1など1~10までの足し算と引き算

ものを正確に数えられる、かんたんな足し算と引き算ができればほとんどの問題は解けます。ただし、足し算や引き算の問題をただ繰り返し解くだけでは対策にはなりません。出題されている文章の内容を正確に理解できる読解力も必要です。

例えば、2+4は解答できても、「2に4を加えたらいくつになりますか?」と文章にすると読解力がなければ解答できません。数の問題への対策は、読解力を身に付けることと、数を具象化させることです。

おはじきやビー玉を使って「2個のおはじきに4個のおはじきを加えると6個になる」など、子どもの目の前で数の状況を実演してあげると、理解しやすくなります。

常識の問題と対策

日常生活で必要な常識に関する問題も出題されています。書かれている絵を見て、常識を問う以下のような問題があります。

  • 「何に使う道具ですか?」(身の回りにある道具や日用品)
  • 「火事の火を消す乗り物は何ですか?」(乗り物)
  • 「この道具を使うお仕事は何ですか?」(職業)
  • 「(ハムやソーセージの絵を見て)何からできていますか?」「(稲の絵を見て)何ができますか?」(食べ物)
  • 「(桜、入学式、こいのぼりなどの絵を見せて)この季節はいつですか?」(季節)
  • 「(おせち、お年玉、鏡もちなどの絵を見せて)これは何ですか?」(行事)
  • 「桃太郎がおばあさんからもらったものは?」「おともにはどんな動物がいますか?」(昔話)
  • 「電車の中でやってはいけないことは何ですか?」(マナー)

常識問題への対策は、ただ知識を教えるのではなく子どもに経験させ、社会的な常識を積んでいくのが有効です。短い間で身に付くものではないため、日常生活の中でも季節や道具、マナーなどに触れたり、話をしたりする機会を積極的に持ちましょう。

言語の問題と対策

言語は、小学校の国語にあたる領域です。絵と文を使って、言葉の音と意味を正しく理解しているかどうかをはかります。言語の問題には、以下のものが出題されています。

  • 絵に書いてあるものを使ってしりとりをする
  • 同じ音の絵(雨と飴、雲と蜘蛛など)を丸で囲む

言語の対策は、言葉の正しい発音を覚えることと、語彙力を伸ばすことです。絵やポスターを使って、言葉と音を一致させる勉強法があります。ほかにも、たくさん話しかける、本を読む、物語に触れるなどして子どもの語彙力を伸ばしましょう。

小学校受験のノンペーパーテストの内容と問題例、対策方法

お絵かき道具セット

ノンペーパーテストとは、筆記による問題解答以外の方法で子どもの特性をはかる入試方法です。小学校受験では、以下のノンペーパーテストが実施されています。

  • 絵画
  • 行動観察
  • 制作課題
  • 体操
  • 面接

それぞれの具体的なテストの内容と問題例、対策について解説します。

絵画

子どもに絵を描かせて特性をみるテストです。絵画は大きく分けて以下のふたつの問題のいずれかが出題されています。

  • 指定されたテーマや課題に対する絵を描く
  • テーマや課題を指定せず自由に絵を描かせる

指定されたテーマや課題に沿って絵を描くのは、テーマや課題への正確な理解力が求められます。自由な絵を描かせる問題については、子どもの表現力や創造性をはかります。

絵画への対策は、家での遊びにお絵描きを取り入れることです。絵画対策のために絵画教室に通わせるご家庭もありますが、必ずしも絵がうまければ合格する、というわけではありません。

行動観察

小学校入試のノンペーパーテストの中でも、もっとも多く採用されているのが行動観察です。受験生同士で集団行動を取り、子ども一人ひとりの行動に対して面接官が点数をつけていきます。

行動観察で評価の対象となるのは、主に以下のポイントです。

  • リーダーシップ
  • コミュニケーション能力
  • 協調性

受験する小学校によって、求められるポイントが異なります。小学校の教育理念や方針、校風などをしっかり研究、理解しておくことが行動観察の対策につながります。

制作課題

制作課題は、テーマや課題に沿って作品や作業を完成させる問題です。制作課題の問題は、のりやはさみを使って指示通りのものを作る問題や、「蝶結びをする」などの課題に取り掛かるなどさまざまです。

受験する小学校の過去問や出題傾向などを把握し、出題される可能性のある課題を練習しておきましょう。

運動課題

運動課題は、指定された運動や体操の課題を行う入試です。主に以下の問題が出題されています。

  • 前後左右へのジャンプ
  • 指定された場所を使って体じゃんけんをする
  • ジャンプしながら360度横回転する
  • サーキット運動(特定のコースに沿っていろいろな運動を組み合わせる)
  • ステップ

運動課題で求められるのは、指示通りに体が動かせるかどうかです。体の正しい動かし方を覚えるとともに、指示を理解する力も求められます。どうしても体を動かすのが苦手な子どもは、体操教室などに通うことも視野に入れてみましょう。

面接

面接もノンペーパーテストの一種です。面接には以下の種類があります。

  • 子どもひとりで行う幼児面接
  • 保護者のみが行う両親面接
  • 親子で行う親子面接
  • 複数の親子が同時に受ける集団面接

面接は、子どもが入学後小学校でも問題なく生活できるか、人柄はどうかなどをはかります。また、子どもだけでなく保護者の方も対策が必要です。

小学校受験の面接に関しては、当ブログの「小学校受験の面接を解説!どんな質問がある?両親の用意は?」という記事に詳しく載っていますので、そちらも参照してください。

小学校の入試対策のポイント

射的で的を射抜く

小学校受験の入試対策は、ペーパーテスト、ノンペーパーテストともに踏まえておくべき以下のポイントがあります。

  • ペーパー、ノンペーパーの対策を並行する
  • 志望校の傾向を調べる

それぞれのポイントについて解説します。

ペーパー、ノンペーパーの対策を並行する

小学校受験を突破するには、ペーパーテスト対策、ノンペーパーテスト対策両方が必要となります。どちらかに偏るのではなく、両方の対策をバランス良く行いましょう。ペーパーテストの問題集やドリルをやった合間に制作をする、体操をするなども有効です。

志望校の傾向を調べる

ペーパーテスト、ノンペーパーテストともにいろいろな種類の問題があります。すべての問題に対して対策を行うのは不可能です。志望する小学校の出題傾向を把握し、問題を絞って対策を行いましょう。

志望する小学校の出題傾向を把握するのに有効なのが、過去問題集の活用です。小学校の入試対策の過去問題集を活用すれば学校別の対策もできます。複数の小学校を受験する場合には、小学校ごとに過去問を用意し対策をすれば、効率よく小学校受験対策が進められるでしょう。

なお、全体的な出題傾向が変化することもあります。例えば2022年度のノンペーパーテストの「制作課題」では、はさみやのりを使う問題が多く出されました。年度ごとの全体的な出題傾向も合わせてチェックしておきましょう。

小学校受験の日程に関しては、当ブログの「小学校受験の日程を調査!受験対策はいつから始める?」という記事に詳しく載っていますので、そちらも参照してください。

小学校受験は問題と傾向を知って対策しよう

小学校受験のペーパーテスト、ノンペーパーテストそれぞれの入試の内容や問題の傾向、対策方法について解説しました。小学校受験は暗記した知識を問うものではなく、理解力、推理力、読解力、空間認知能力など子どもの持つ特性をはかる目的で行われます。さらに、ペーパーテストだけでなく制作課題や絵画、運動などのノンペーパーテストの対策も必要です。

志望校の傾向を把握することで、効率良く確実な小学校受験対策ができます。志望校別の過去問などを活用し、万全の対策をして入試へ挑みましょう。