短大を受験するときには、さまざまな受験方式・日程から、出願する試験を選ぶ必要があります。どう選べばよいのか迷う人もいるでしょう。
今回は、短大の入試の種類を「総合型選抜」「学校推薦型選抜」「総合型選抜」に大別して、それぞれの特徴や入試の内容、試験の流れ、スケジュール、入試種別の入学者の割合をご紹介します。
短大の3種類の入学試験とは
短期大学(以下、短大)の入試方式は、大きく分けると次の3種類があります。
- 一般選抜
- 学校推薦型推薦
- 総合型選抜
短大ごとに、このうち複数の方式で入試が行われるのが一般的です。入試方式によって受験日程や試験内容が異なるため、志望校が採用している受験方式を確認し、どの受験方式に出願するかを決めましょう。
ここでは、受験方式ごとの特徴を紹介します。
一般選抜の概要と特徴
一般選抜はいわゆる「一般入試」と呼ばれる受験方式です。多くの場合、基礎学力を測るための学力テストを中心とした試験が行われます。
学校によって試験日程が異なるため、別の日に試験が行われる短大であれば何校でも併願可能です。同短大の別の学部・学科との併願が可能なケースもあります。
学校推薦型選抜の概要と特徴
学校推薦型選抜は、いわゆる「推薦入試」と呼ばれるもので、在籍している高校などの学校長の推薦を受けて受験する方式です。短大側が特定の高校に対して推薦枠を設ける「指定校推薦」と、どの高校からも受験できる「公募推薦」の2種類に大別されます。
従来の学校推薦型選抜では、学校から提出される資料をもとに、高校生活での実績や取り組みを中心に評価されていました。しかし近年では、実地試験学力面の評価も必須となっています。
学校推薦型選抜では多くの短大が専願制を採用しており、同時並行でほかの短大や大学を受験できないのが一般的です。
総合型選抜の概要と特徴
総合型選抜は従来AO入試と呼ばれていた試験方式です(旧AO入試)。さまざまな方法で、学生の志向や資質、意欲、学力などの総合評価を行います。
総合型選抜の大きな特徴は、その短大が求める学生像と受験生のマッチングを重視している点です。受験生の人物像を適切に評価するために何段階かに分けて試験を行う短大も多く、出願から合否決定までの期間がほかの受験方式より長い場合があります。
また、総合型選抜では専願制を採用している短大が多く、同時並行でほかの短大や大学を受験できません。
短大を選ぶメリットに関しては、当ブログの「短大を選ぶメリットは?大学や専門学校と比較!」という記事に詳しく載っていますので、そちらも参照してください。
一般選抜の試験内容と流れ
一般選抜では、次のものを評価して合否を判定するのが一般的です。
- 学科試験(筆記)
- 調査書、活動報告書
また、面接を実施する短大や、資格・検定のスコアを評価項目としている短大もあります。
学科試験には、学校独自の試験で学力を評価するタイプと、学力評価に大学共通テストを利用するタイプがあります。両方を実施している短大も少なくありません。
いずれの場合も科目数には幅がありますが、国語のみ、国語と英語(両方または選択制)、国語と専攻科に関連する科目の組み合わせといったパターンが多く見られます。
学校独自の出題による入試と大学共通テストを利用する入試の基本的な流れは、それぞれ以下のとおりです。※一例であり、実際の流れは学校によって異なります。
学校独自の出題による試験の流れ
学校独自の試験を実施している短大の入試の流れは、おおよそ次のとおりです。
- 出願
- 学科試験
- 面接など(実施される場合)
- 合格発表
試験から合格発表までの期間は短大により異なりますが、数日~2週間程度の学校が多く見られます。一般選抜の日程を複数設けている短大が多いため、確認して併願などのスケジュールを調整しましょう。
大学入学共通テスト利用入試の流れ
大学入学共通テストを利用する入試の流れは、おおよそ次のとおりです。
- 大学共通テスト出願
- 大学入試共通テスト
- 出願
- 短大独自の試験(実施される場合)
短大によっては、大学入試共通テストの前に出願が必要となるケースがあるため、必ず入試要項を確認しましょう。合否は大学共通テストの結果を待って判定されるため、学力試験から合格発表までの期間が独自試験の場合よりも長いことが多いようです。
学校推薦型選抜の試験内容と流れ
学校推薦型選抜(指定校推薦・公募型推薦)では、主に次のような内容で評価が行われます。
- 調査書・活動報告書・推薦書
- 学力検査(学校独自、大学共通テスト)
- 小論文
- 面接
また、部活動や高校での活動実績を重く評価する特別公募推薦(スポーツ推薦、有資格者推薦など)の枠を設けている短大もあります。短大ごとに試験の実施内容はまちまちであるため、志望校の入試要項でチェックしましょう。
学校推薦型選抜への出願は、高校の成績をもとにつけられる評定の平均値が基準を超えていることが条件になっていることがあります。定期試験の結果など、高校1年生の時点から切り分けが始まっていると考えてよいでしょう。
学校長からの推薦書には、受験生本人の学習活動の状況を踏まえて、次の評価点について記載されます。
- 思考力・判断力・表現力
- 知識・技能
- 主体性を持ってさまざまな人々と協働して学ぶ姿勢や態度
短大は必ずこれらの評価を活用して選抜を行うことになっているため、学習以外の活動に関しても、普段の取り組みが重要です。
学校推薦型選抜の基本的な流れは、おおよそ次のとおりです。
- 調査書・推薦書提出
- 書類審査
- 学力検査、小論文など
- 面接
- 合格発表
試験から合格発表までの期間は短大によりばらつきがあるため、出願前に確認しておきましょう。
短大の学校推薦型選抜については、当ブログの「短大の学校推薦型選抜について解説!突破のための対策を知ろう」という記事に詳しく載っていますので、そちらも参照してください。
総合型選抜の試験内容と流れ
総合型選抜では、次のような提出物の内容および試験の結果をもとに、合否判定が行われます。
- 調査書
- 志望理由書、活動報告書(受験生本人が記述したもの)
- 小論文
- 面接
- プレゼンテーション
- ディスカッション
- セミナー・模擬講義の受講
- 学力検査(大学独自、大学共通テスト)
- 実技試験
総合型選抜で重視されるのは、学校が求める学生像に合致する受験生を選抜することです。そのために、小論文や面接、ディスカッションなど、受験生の考え方や意欲、人柄、技能などを測るための試験内容が多く採用されています。
面接では、高校で学習した内容や志望分野に関する口頭試問が行われることもあります。また、多くの大学で上記から複数の試験を組み合わせて試験を実施しており、短大ごとに試験内容はまちまちです。
総合型選抜では、試験の結果に加えて、短大が掲げる「アドミッション・ポリシー」に合致するかどうかも重要です。アドミッション・ポリシーとは、大学が求める学生像を具体的に示したもので、学校のホームページなどに記載されています。大学ごとのアドミッション・ポリシーをよく理解して、自分の目指すものと合致する志望校を選ぶことが大切です。
総合型選抜は大きく、学校と受験生との相互理解を重視する対話重視型と、基礎学力を重視する学力・論文重視型に分けられます。それぞれの試験のおおよその流れは、以下のとおりです。
対話重視型の流れ
対話重視型の総合型選抜は、次のような流れで進みます。
- エントリー
- 面接(1~2回)
- 出願許可
- 出願
- 本面接
- 合格発表
エントリーとは、出願前に行う受験手続きです。エントリーをしたうえでオープンキャンパスへの参加や面接など短大が指定する過程を経た受験生にのみ、出願許可が与えられます。短大によってはエントリーの段階がなく、当初から出願が可能なこともあります。
オープンキャンパスなどへの参加が必要な場合、エントリーから合格発表までの日程が長くなります。出願の条件を必ず確認し、しっかりスケジュールを組むことが必要です。
学力・論文重視型の流れ
学力・論文重視型の流れは、おおよそ次のとおりです。
- 出願
- 書類・論文審査
- 面接、小論文、学力検査など
- 合格発表
出願書類と同時に論文の提出を課されることがあり、出願前の準備にまとまった時間が必要です。試験から合格発表までの期間は短大によってさまざまですが、早ければ数日で結果が通知されることもあります。
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3種類の入学試験のスケジュール
一般選抜、学校推薦型選抜、総合型選抜の試験日程は、おおよそ次のとおりです。
試験の種類 | 出願 | 合格発表 |
一般選抜 | 2月1日以降 | 3月31日まで |
学校推薦型選抜 | 11月1日以降 | 12月1日以降 |
総合型選抜 | 9月1日以降 | 11月1日以降 |
短大にもよりますが、一般的には総合型選抜の日程が最も早く、次に学校推薦型選抜、一般選抜と続きます。そのため、同時並行で複数校に出願できない学校推薦型選抜や総合型選抜でも、結果が不合格であった場合、スケジュール次第ではほかの方式での再出願が可能です。
また、同じ入試方式でも複数の日程を設けている短大が多いため、上手く組み合わせて受験するとよいでしょう。
どの入学試験の入学者が多い?
文部科学省が発表した「令和2年度国公私立大学・短期大学入学者選抜実施状況の概要」によると、令和2年度の学校推薦型選抜、総合型選抜による短大入学者の割合は次のとおりです。
学校推薦型選抜 | 総合型選抜 | |
公立 | 44.2% | 5.9% |
私立 | 55.0% | 30.4% |
計 | 54.5% | 29.1% |
合計すると、公立短大では半数、私立短大では80%以上が、一般選抜以外の入試方式で入学した計算です。入試方式の多様化が進み、単純に学力だけで判定されない入試方法が、広く活用されていることがわかります。
短大の受験方式を選択するときには、学力や高校での活動内容、志望校に対する熱意などを考慮して、自分に最も合うと思うものを選ぶとよいでしょう。
入試の種類によって短大の試験内容は全く違う
短大の入試には一般選抜、学校推薦型選抜、総合型選抜の3つの方式があります。学力が重視される一般選抜に対して、学校推薦型選抜や総合型選抜では学力とともに高校での活動内容や学習意欲、人物像などが重要な評価点です。
近年では、学校推薦型選抜や総合型選抜で入学する学生が増えており、入試方式の選択肢は広がっているといえます。自分の強みは何かを考えて、マッチする入試の種類を選びましょう。
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