私立・国立・公立の中学受験の割合は?進路別に生徒数をチェック

私立の志望者は増加傾向? 進路別・生徒数の割合は?

これまで、小学校を卒業した後は「公立の中学校へ進学する」というのが一般的でした。入学試験を必要とせず、授業料もかからないこと、地域それぞれに公立中学校があることなどが大きな理由です。

しかし近年では「中学受験を目指したい!」「学習に最適な環境で先進的な教育を受けさせたい!」という家庭が増えたこともあり、中学受験への注目度はますます高まりを見せています。

そこで今回は、公立・私立・国立と3つの選択肢がある中で、どれくらいの生徒が私立中学校を目指すのか、私立中学校に通うのは東京に集中しているのはなぜか?など、私立中学校に通う生徒数の実態について詳しく解説します。

私立/国立/公立に通う生徒数の割合はどのくらい?

多くの人が行き交う駅

中学受験において、受験者数というのは気になる数字です。文部科学省では学校基本調査を毎年行っていますが、令和元年(2019)度の調査結果を中心に数年間の私立・国立・公立に通う中学の生徒数の変化を見てみましょう。

中学校生徒数

年度総生徒数(人)私立 (人)国立 (人)公立 (人)私立に通う割合 (%)
20153,465,215243,39031,0263,190,7997.0
20163,406,029241,54530,8403,133,6447.1
20173,333,334239,40030,1013,063,8337.2
20183,251,670238,32629,6392,983,7057.3
20193,218,137239,10628,7002,950,3317.4

少子化が進んでいる影響もあり、中学校の総生徒数が毎年減少しています。それにともなって私立・国立・公立の生徒数も減ってきています。

注目すべきは私立に通う生徒の割合です。平成27年(2015)から少しずつですが毎年上昇しており、令和元年(2019)においては中学生全体の7.4%が私立中学校へ通っています。

このことから、中学受験で私立を選ぶ生徒が増えていることがわかります。また令和元年度(2019)の全国における私立中学校数は少しですが増えています。公立中学校へ進学する数が減少傾向にあることに比べると、私立中学校への期待の高さがうかがえます。

中学受験後に私立に通う中学生は東京がダントツで多い

東京駅の駅前広場

全国的に私立中学校へ通う生徒数は増えていますが、中学受験がトレンドになっている東京都の場合はどうなっているでしょうか。東京都の統計を見れば、私立中学校をめぐる受験環境がよりわかりやすくなります。

私立中学校に通う割合・上位5位(2019年度)

都道府県総生徒数(人)私立(人)私立に通う割合(%)
東京都300,37775,00325.0
高知県17,2323,11818.1
京都府65,5518,78313.4
奈良県36,2884,56912.6
神奈川県223,83024,88911.1

やはり私立中学校へ通う生徒の割合は、東京都がダントツに多くなっています。特に注目したいのは総生徒数に対する私立の割合です。東京都の25%というのは、実に都内の中学生の1/4が私立へ通っていることになります。

なぜ東京では私立中学校に通う生徒が多いのか、その理由と私立を選ぶメリットについて説明しましょう。

なぜ東京は私立に通う中学生が多いのか?

東京は人口が集中していることもあって、私立中学校の数が多くなっています。そのため私立中学校に関する生の情報が得やすく、公立中学校との比較がしやすいです。

また全国的に少子化で子どもの数が少なくなり、子ども1人にかける教育費の割合が増えています。

令和元年(2019)に発表された、文部科学省による平成30年度の子どもの学習費の調査によれば、私立中学校の学習費総額は増加傾向にあるのがわかります。ちなみに私立中学校の学習費総額は、前回比で6.0%の増加です。

私立中学校に通うメリットとは?

私立中学校へ通う生徒が増えているのは、公立中学校にはないメリットがあるからです。どのようなメリットがあるのか、具体的に見ていきましょう。

  • 学習環境がよい:私立は施設が充実しており、学びの環境が整っています。
  • 中高一貫校がある:中学から高校まで一貫教育を取り入れているところが多く、高校受験で苦労する必要がありません。
  • 大学受験に有利:大学附属校があり、内部進学により進学しやすいです。中高一貫校では早くから大学進学を目指したカリキュラムで勉強できます。
  • 建学の精神:私立には建学の精神があります。公立にはない個性的な教育を受けられるので、子どもの個性を伸ばせます。

東京都の私立中学校数は、平成28年度(2016)時点で188校です。学校ごとに建学の精神があり、それぞれ独自の教育方針のもとで運営されています。受験生は自分の個性に適した学校を選べるというのも、私立中学校ならではでしょう。

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東京都のエリア別(区別)の私立中学校進学率

東京の路線図

私立中学校の進学率がダントツの東京都ですが、都内のエリア別進学状況はどうなっているでしょうか。

令和元年度(2019)の東京都教育委員会の統計によると、進学率が高い区のベスト5は下記のとおりです。

東京23区の私立中学校への進学率(令和元年度)

順位エリア(東京23区)進学率(%)
第1位文京区40.4
第2位港区39.1
第3位目黒区38.5
第4位中央区36.6
第5位渋谷区34.9

トップは文京区で、いずれも都心部エリアに集中しています。この統計でわかることは、中学受験で私立を目指すのならこのエリアに居住したほうが有利だという事実です。

将来的に私立中学校を目標にするのなら、23区のこのエリアへ引っ越すというのもひとつの方法でしょう。

進学率の高いエリアに住むメリットとは?

ベスト5にランクされたエリアに引っ越せば、私立中学校への進学が有利になるとは必ずしもいえません。しかしこのエリアならではのメリットがありますので、ご紹介します。

・小学校の対応がよい

文京区では小学6年生の10人に4人が私立を受験します。これだけ多いと中学受験に対する公立小学校側の対応も確立されています。

・受験環境が整っている

クラスの3~4割が私立中学校を目指すので、自然に受験勉強の環境が整い、勉強に集中できます。

・名門私立中学校がある

御三家と呼ばれる男子校や女子校がこのエリアに多いので、受験勉強にも身が入ります。また名門私立中学校への進学者数が多い公立小学校に入学できるのは大きなメリットです。

・通学に便利

都心部に暮らすことになるので、私立中学校への通学が便利になります。

地域によって中学受験を行う生徒数はかなり違う、その実態とは?

ひとりだけ閃く

東京23区における私立中学校進学率のベスト5をお伝えしましたが、当然ながらワースト5も存在します。ちなみに第23位は江戸川区で、進学率は10.3%です。トップの文京区とは4倍の差があります。江戸川区の小学校では中学受験が少数派です。

数字だけ見るとかなりの差がありますが、実は私立中学校への進学率が高いのは限られたエリアで、東京都全体で見ると公立中学校へ進む生徒の方が多いのです。

地域による違いというよりは、経済格差が中学受験に影響しています。私立は入学金や授業料、設備費などの費用がかかり、経済的な余裕がないと通えないのが実情です。また、23区外に居住している場合、通学に時間がかかるなどの理由で公立を選ぶ生徒も多いです。

中学受験をするならデータや数字に惑わされず、子ども(受験生)に適した学校を選択することも大切です。

中学受験は私立の進学率を目安にチャレンジ

この記事で紹介した進学率やデータなどは、私立への進学率が高い東京都の一例です。あくまでも一つの情報として今後の受験にお役立てください。

これから中学受験を控えているご家庭では、早めの準備と万全のサポート体制を整えることが求められます。お子さんの性格や学習環境に合わせて、最適な中学校選びと受験対策を行いましょう。

中学受験の具体的なメリット・デメリットをご存じですか?中学受験を決める前に知っておきたいチェックポイントや、「うちの子は中学受験に向いているのかしら?」とお悩みの方は、ぜひ以下の記事をご覧ください。