私立中学の学費が払えない!必要なお金や費用捻出の対策を解説

私立中の学費対策 7つの捻出テク、計画の仕方

「子どもを私立中学に入学させたい」「私立に行けばそのまま大学まで行けるし…」。そんなふうに考えている親御さんも多いことでしょう。子どもの未来を決める中学受験。塾に通わせて、魅力的な私立中学校に入学して、その先幸せな人生を…と考えているかもしれません。

たしかに私立中学校はメリットがたくさんあります。その反面デメリットもあります。特にお問い合わせを多くいただくのは「学費が払えなくなるのは防ぎたい」。

そこで、私立中学受験を考えている親御さんのために今回は、私立中学校の学費の目安や、学費が払えなくなったときの対処法、助成金について解説します。経済面の不安を解消して志望校選びをしましょう。

私立中学校の学費はいくら?

階段状に並べたコイン

私立中学校の学費の目安として、全国、都内の各中学校の初年度納付金(授業料、入学金、施設費、その他を含む)をまとめました。

都内私立中学校97万531円
全国私立中学校平均80万7,656円

全国と都内の私立中学校を比較すると、初年度入学金のみで約17万円の差があります。特に都内の私立中学校の学費は高くなる傾向にあるため、予測していた学費では足りなくなってしまう可能性もあるでしょう。

上記はあくまで初年度入学金で、毎年の授業料や施設費などを含めると、都内の私立中学校は3年間で平均約231万円が必要です。

さらに、都内では以下の要因によって私立中学の学費が払えなくなることも多いです。

  • 受験の通塾費用
  • 習い事費用
  • 交際費
  • 学費以外の出費

都内では中学受験への熱も高いため、塾も集団ではなく個別指導、塾と家庭教師を併用するなど中学受験にかかる費用も高くなりやすくなっています。

また、私立中学入学後、予想外の出費が続くのも学費が払えなくなる原因となります。同級生に合わせるために費用の高い部活や習い事をはじめる、学習塾の費用がかかることもあるでしょう。

同級生や保護者同士での交際費がかさむ、PTA会費や先生への贈り物代、修学旅行費用などが高い場合も多いです。中学受験前に学費を用意しておいたにも関わらず、予想外の出費が続いて学費が払えなくなってしまう、ということもあり得ます。

払えない?学費や教育費を捻出する8つの方法

私立中学校の学費が払えなくなる可能性がある場合、学費や教育費を何とか捻出しなければいけません。学費や教育費を捻出するためには、以下の方法があります。

  • 高校受験対策の教育費を見直す
  • 習い事を見直す
  • 保険を見直す
  • 学用品を安く調達する
  • ほかの兄弟は公立中学にする
  • 月々のローン返済額を減らす
  • 貯蓄を切り崩す
  • 公立中学校へ転校させる

高校受験対策の教育費を見直す

高校受験をする場合、中学生のうちから塾に通うなどの高校受験対策をします。一方、塾代のみで100万円近くかかるなど、高校受験対策の教育費が家計を圧迫している場合も多いのが実状です。以下のポイントを踏まえて、高校受験対策の教育費を見直してみましょう。

  • 塾通いの期間を見直す
  • 塾以外の方法に切り替える
  • 外部ではなく内部の高校受験対策にする

中学1年生から高校受験対策の塾に通うと、その分だけ通塾費用がかかります。通塾は受験本番となる中学3年生からにするなどして、高校受験に最低限必要となる塾の期間に見直してみましょう。

高校受験対策は、塾以外でもできる場合があります。塾ではなく以下のような方法に見直すと、高校受験対策の教育費をおさえられます。

  • オンライン学習塾
  • 通信教育
  • 家庭教師
  • 教材を購入して自宅学習

私立中学校受験をした場合、外部高校だけでなくエスカレーター式で内部高校へ進学する選択肢があります。内部高校への進学の際は、入試ではなく内部推薦で進学できる場合も多いです。高校受験の入試対策ではなく、内部推薦対策として学校の勉強や部活を頑張る、といった方法なら通塾の必要もなく、高校受験の費用をおさえられます。

習い事を見直す

小学校から続けている習い事を中学校でも続けている場合、余分な習い事をしていないかどうかを見直してみましょう。たとえば、子どもが中学校から習い事と同じ部活に入ってる場合もあります。

親が希望した習い事を、子どもが合わせて続けていることもあるでしょう。私立中学校の学費を払うのが厳しい、と感じたら習い事を見直し、必要に応じて習い事を整理すると学費を家計から捻出できる場合があります。

保険を見直す

生命保険、医療保険など家族のために保険に入っている家庭も多いです。一方、必要のない補償を付けているなど、保険料が無駄に高くなっている場合もあるでしょう。一度保険の見直しをしてみると、月々に支払う保険料をおさえられる可能性があります。

学用品を安く調達する

私立中学校は、制服、学生かばんなどの学用品も指定の場合が多いです。学用品を安く調達すると、中学にかかる費用をおさえられます。

学用品を安く調達するには、以下の方法があります。

  • ママ友や知り合いにお古をゆずってもらう
  • 上級生(部活の先輩など)にお古をゆずってもらう
  • フリマサイトなどで安く購入する

ほかの兄弟は公立中学に進学してもらう

ほかに兄弟がいる場合、兄弟ふたりとも私立中学校に進学するとかかる学費がより高くなってしまいます。何とかひとり分なら私立中学校の学費が捻出できそうな場合、ほかの兄弟は公立中学に進学してもらう方法もあります。

兄弟によって公立、私立と進学先が異なると不公平感が出てしまいます。ただし、子どもの能力や個性によっては、私立よりも公立が向いている場合も多いです。また、学区によって指定される公立中学校に進学するだけでなく、国立中学校や公立中高一貫校を目指す選択肢もあります。

ローンの返済額を減らす

住宅ローンをはじめとしたローンの返済が、家計を圧迫している場合があります。月々のローンの返済額を減らすことで、私立中学校の学費を捻出する方法も有効です。

ローンの返済額を減らすには、以下の方法があります。

  • 返済期間の延長
  • 返済猶予
  • 一定期間の返済減額
  • 繰上返済
  • 借り換え

ローンの返済期間を延長する、一定期間元金ではなく利息分だけを支払う返済猶予を受ける、一定期間返済を減額してもらうことで、月々の返済額が少なくなります。ただし、その分多くの利息を支払う、元金が減らないため支払う期間が長くなるなどがデメリットです。あくまで一時的な措置として利用しましょう。

ボーナスが入ったなど、資金に余裕があるときには積極的に繰上返済をすることで返済額を減らすこともできます。利息の低いローンへの借り換えを検討するのも月々の返済額減につながりますが、逆に支払い手数料や税理士への書類依頼料などがかかってしまうことも多いです。借り換えを検討する場合は、ほかの費用なども踏まえて決めるようにしましょう。

3年間だけだと覚悟して貯蓄を切り崩して乗り切る

高校のための費用として貯蓄を残してある場合、私立高校授業料実質無償化の対象であるかを確認しておくとよいでしょう。私立高校授業料実質無償化とは、高校生を持つ世帯の所得額と子どもの年齢によって最大39万6,000円が支給される国の制度です。

私立高校授業料実質無償化の対象となれば、私立高校に通った場合の学費を大幅におさえられます。「学費がかかるのは中学校3年間のみ」と割り切り、貯蓄を切り崩して乗り切るのも方法のひとつです。

公立中学校へ転校させる(最終手段)

私立中学校の学費を払い続けると家計が破綻する、このままでは借金しかない、など最終的な手段としては、私立中学校へ通う子どもを公立中学校へ転校させる方法があります。公立中学校の場合義務教育となるため、月々の授業料は実質無償、かかるのは給食費や教材費のみとなります。

ただし、慣れている環境からの転校は、子どもにとっても大きな負担となります。子どもが今の学校に思い入れがなく転校を気にしない場合に限る、さらにあくまで最終手段として考えておきましょう。

知っておきたい助成金の落とし穴

的を外した男性

私立中学校に通う子どもがいる場合、国の「私立小中学校等に通う児童生徒への経済的支援に関する実証事業」より年間最大10万円の助成金が受けられます。ただし、助成金には以下の落とし穴があります。

  • 所得制限がある
  • 令和3年度までの事業
  • 調査を受ける必要がある

助成金は、すべての世帯が受けられるわけではありません。年収400万円未満かつ資産保有額600万円以下の父母、扶養親族が高校生未満の子どものみの世帯という条件があります。国税庁の令和元年「民間給与実態統計調査」によると、日本の年齢・業種を含めた全体的な平均年収は436万円です。

平均年収を下回る収入の世帯のみ助成金を受けられることになりますが、私立中学校への入学を検討・実施する家庭はそもそも平均以上の収入があり、家計に余裕がある場合が多いでしょう。そのため、助成金の対象となる世帯はごくわずかということになります。

また、令和3年度までの事業のため今後は終了となる可能性がある、助成金を受けるには文部科学省の調査を受ける必要がある、などの注意点もあります。

現在の収入を考えた計画的な受験が必要

ノートに計画を書き出す

私立中学受験は、私立中学校へ入学した後の学費のほかにも、さまざまな費用が高くかかる場合があります。また、中学受験のために通塾をはじめとした多くの費用も発生します。これから子どもの私立中学校受験を検討したい場合は、現在の収入を考え計画的に中学受験へ準備しておく必要があります。

まだ子どもが中学受験をはじめる前で、将来的に私立中学校受験も踏まえる場合は、以下の準備をしておきましょう。

  • 学資保険に入っておく
  • 高額な買い物は計画的に行う

学資保険に入っておく

学資保険とは、保険料を積み立てて支払っておき、将来子どもの学資金として受け取れる保険です。学資保険には以下のメリットがあります。

  • 教育資金を計画的に用意できる
  • 親に万が一のことがあっても用意できる
  • 貯蓄型と保障型が選べる

学資保険に入れば、月または年に決まった金額が保険料として積み立てられ、中学高校入学時や18歳など高額な学費が発生する時期に満期保険料として受け取れます。貯金が苦手な人でも、強制的に教育資金の準備ができるのがメリットです。

また、契約者である親が死亡、または障害を負った場合はそれ以降の保険料の支払いが免除され、満期保険金を受け取れます。親に万が一のことがあった場合でも、子どもへ教育資金を用意できるのもメリットです。教育資金の貯蓄に特化し戻り額の多い貯蓄型のほか、親の死亡時などに死亡保険金などが受け取れる保証型もあり、ニーズに合わせて選べます。

学資保険は、子どもや親の年齢に制限があります。妊娠中から加入できる学資保険もあるため、私立中学受験を将来考えるなら、できるだけ早い時期から学資保険の加入を検討しておきましょう。

高額な買い物は計画的に行う

家や車など高額な買い物をする時期と子どもの入学時期が重なった場合、支払いが家計を圧迫し、破綻してしまう可能性が高くなります。高額な買い物をする場合には、子どもの入学時期や受験期間と重ならないように、計画的に行いましょう。

私立受験の世帯年収は、当ブログの「私立中学受験には世帯年収いくら必要?月々の教育費用を調査」という記事に詳しく載っていますので、そちらも参照してください。

私立中学受験のための学費や費用を準備しておこう

私立中学は学費だけでなく受験前の費用や、その他の費用がかかるのが事実です。学費を捻出できる方法とともに、学資保険などの準備をあらかじめ備えておき、お子さんの私立中学受験を全力で応援できるようにしましょう。

私立中学の受験では、学力試験はもちろん、面接試験が重要視されます。以下の記事では、面接でよく聞かれる質問や面接のマナーなどについて解説しています。ついつい面接対策は後回しにしがちですが、学力試験対策と同時並行して、他の受験生に差をつけておきましょう。