世間には「中学受験対策=進学塾に通う」というイメージがあります。しかし、なかには我が子を進学塾に通わせずに「なんとか中学受験を乗り切れないものだろうか?」と考えている親御さんも少なくありません。
特に、私立中学や公立中高一貫校がこれまで以上に注目されるようになってからは、問題集や、独学のノウハウについて多くお問合せをいただくようになりました。中学に入ってからの学費を考えると、受験前はなるべく余計な出費は抑えたいものですよね。
そこで今回は、塾なしで中学受験に成功するための条件や、効率のよい学習方法について詳しく解説します。塾なしで中学受験する際の注意点などについても紹介していますので、ぜひ最後までご覧ください。
塾なしで中学受験が成功する3つの条件
中学受験をするお子様の多くが、受験対策のために進学塾に通っています。しかし、塾に通わずに中学受験に成功することも、決して不可能ではありません。
ただし、塾なしで中学受験に成功するには、次の3つの条件を満たすことが重要です。
- 受験の意志が固いこと
- 家庭学習の習慣をつけること
- 保護者が多角的にサポートすること
1.受験の意志が固いこと
自学のみで中学受験に成功するには、お子様自身が中学受験に対する固い意思を持つことが大切です。小学生はまだまだ、勉強よりも遊びに一生懸命な年頃です。周りの子に流されて遊んでしまわず、中学受験に向けての学習に取り組むためには「中学受験に成功したい!」「どうしても○○中学に行きたい!」という強い気持ちを持つことが、何よりも大切なのです。
中学受験に対する明確な目的意識を育てるために、私立中学校の良いところを話す、ネット検索や現地訪問などで志望校の具体的なイメージを持てるようにするなど、家族で協力するとよいでしょう。
2.家庭学習の習慣をつけること
中学受験となると、学校で出される課題をこなしているだけでは合格できません。+αである程度の学習の量・質をキープし続けることが必要です。
まずは土台作りとして、学習計画を立て、計画通りに学習できるようになることから始めましょう。できるようになったら、つまずきを解決するところまで自分でできるようにしてください。
塾に通うのと異なり、家庭学習は自分のペースで進められます。適切な学習方法が身に付けば、自学に時間を割けることはかえって強みになるでしょう。
3.保護者にサポートする決意があること
後に詳しく触れますが、塾なしで中学受験に成功するためには、さまざまな面で保護者のサポートが欠かせません。なぜなら、自学で中学受験に挑むということは、志望校の情報集めや模試などのスケジュール管理、受験校に合わせた教材の選定など、通塾すれば塾が引き受けることを、全て保護者が担うことになるためです。
保護者の負担は想像以上に大きいため、子どもと一丸となって受験を乗り越える意志がなければ、成功は難しいでしょう。
塾なし&自宅で効率的に勉強するポイント
塾に通わずに中学受験に挑戦する場合、いかに効率よく家庭学習に取り組むかは重要な課題です。家庭学習の効率を上げるポイントとして、次のような点を意識するとよいでしょう。
- 基礎・難易度の低いものから取り組む
- 反復学習をする
- 質の高い教材を見極める
基礎・難易度の低いものから取り組む
「中学受験の問題は難易度が高い」というイメージがあると、いきなり難しい問題に取り組みたくなります。しかし、応用を効かせた難易度の高い問題を解けるようになるためには、応用をするための基礎ができていなければなりません。
たとえば、小学校5年生の内容を理解していなければ6年生の内容が理解できないように、基礎ができていないのに応用問題に挑んでもつまずいて足踏みをするだけです。
基礎に戻って理解を深めたりつまずきを一つずつ解消したりする積み重ねが、成績の上昇につながります。
反復学習をする
しっかり覚えたつもりのことも、人間である以上、どうしても時間の経過とともに少しずつ忘れていってしまいます。できるだけ長く記憶を定着させるために有効だといわれているのが、同じことを繰り返し学習する方法です。
新しい内容を学習したら、覚えるまで毎日テストするとよいでしょう。覚えたら、さらに1週間、1か月と期間を空けて再度テストするとより効果的です。
質の高い教材を見極める
効率よく自学をすすめるためには、質の高い参考書や問題集が欠かせません。自宅学習で使用する教材は、次のような基準で選ぶとよいでしょう。
- 中学受験の頻出パターンを押さえた出題がされていること
- 解説が丁寧で小学生が1人で読んでも分かりやすいこと
- ページを開いたときの印象が堅すぎないこと
小学生が抵抗感を持たずに取り組みやすく、自分でつまずきや疑問点の解消ができる教材を使うことで、自宅学習がスムーズに進むようになります。
インターネットやアプリ、学習マンガなどを活用する
最近では、通塾するのと同じような授業を受けられるWeb動画や、机に向かっていない時間も手軽に学習できるアプリなどが豊富にあります。こういった学習をサポートするツールを取り入れることで、自宅学習の質がさらに上げられるでしょう。
また、理科や社会科などの学習内容を親しみやすいヴィジュアルで分かりやすくまとめた学習マンガを利用すると、すき間時間を活用して学習への理解を深められます。
【中学受験における志望動機の書き方や例文はこちら】
中学受験において、学校側が受験生に対する第一印象となるのが志望動機です。面接試験でも重要になる志望動機の書き方やその例文について、詳しく解説します。
自宅学習で中学受験するお子様には保護者のサポートが重要
自宅学習のみで中学受験に挑戦する場合、塾が担うはずの部分も保護者がサポートすることになります。言い換えれば、保護者のサポートなしに中学受験を乗り切るのは不可能であるということです。
とくに次の6つのポイントに関しては、保護者のサポートが不可欠です。
- 受験校の情報収集
- 受験までの学習の進め方や模試の日程などのスケジュール管理
- 教材の選定
- 学習の習熟度や進捗の把握とアドバイス
- お子様の健康管理
- 模試や受験の手続き
学習スケジュール作りや教材選びなど、お子様と一緒に決めていく部分は話し合いながら進めることは、家族が一致団結して受験に挑む空気作りをすることにも役立ちます。また、受験手続きなど大人の役割は、抜け漏れなく果たせるように準備しましょう。
保護者の負担が非常に重くなることも考えられるため、しっかりとした心構えが必要です。
塾なしで中学受験する際の注意点
塾なしで中学受験をする際の一番の注意点は、保護者がやらなければならないことが通塾する場合と比べて格段に多いということです。
また、これ以外にも以下のような点に注意する必要があります。
- 傾向や対策の把握が必要
- 受験校に合わせた勉強が必要
- 塾に行く場合のような強制力がない
傾向や対策の把握が必要
中学校の入試は、毎年出題の傾向が変わります。そのため、受験年度に合わせた最新情報をリサーチし「その年向け」の対策を意識して学習を行うことが必要です。
塾に通えば塾がきちんと考えられた対策をとってくれますが、自宅学習の場合は保護者が情報を集めて、学習の計画に反映させなければなりません。たとえ上のお子様で経験があったとしても、そのままの方法では対応しきれない可能性があります。
受験校に合わせた勉強が必要
学校によって中学入試の内容には特徴があるため、受験校の特徴も把握したうえで対策を練らなければなりません。そのためには、過去の出題傾向や試験要綱などの情報についても精通することが求められます。
個人で情報収集するのは大変な作業であるため、早めに取りかかる必要があるでしょう。
塾に行く場合のような強制力がない
家庭学習では、塾で講師に指導を受ける場合のような強制力が働きません。そのため、強い意思を持って自主的に勉強に取り組むことが苦手なお子様の場合、学習が進まず、成果を上げにくい可能性があります。反対に、マイペースにコツコツ取り組むほうが得意なお子様にとっては、家庭学習のほうが成績を伸ばしやすいことも考えられます。
強制力のない勉強方法には向き不向きがあることを、頭に置いておきましょう。
自己管理がどうしてもできないなら通塾も視野に
自宅学習で中学受験を成功させるには、自分で学習内容やスケジュールを管理して、自主的に取り組めるようになることが不可欠です。自己管理が難しく成果がなかなか上がらない場合は、通塾に切り替えることも、視野に入れたほうがよいでしょう。
自己管理が苦手なお子様を塾に通わせるメリットは、次のような点です。
- 受験年度や受験校に合わせた適切な課題を与えてもらえる
- 模試などを組み込んだ合理的なカリキュラムが用意されている
- 学習することに対してある程度の強制力がある
自主学習やスケジュール管理が苦手なお子様にとっては、塾に通うほうがストレスなく学習に取り組める可能性もあります。
塾なしの中学受験は自己管理がカギ
家庭学習には、向き・不向きがあります。もし「うちの子どもは家庭学習に向いてない」と感じた時は、思い切って通塾に切り替えるということも視野に入れておきましょう。
中学受験で「いつから塾に通えば良いの?」「塾に通うメリットは何?」など、中学受験や塾について詳しく知りたいという方は、以下の記事をおすすめします。塾の選び方のポイントについても詳しく解説しているのでぜひご覧ください。