総合型選抜(旧:AO入試)は学力重視!面接や小論文でもしっかり対策

学力重視ってどういうこと? 今からでも間に合う?

AO入試が総合型選抜へと名称を変えたのと同時に、合否判定の基準も大きく変わりました。なかでも、学力のウエイトが上がった点について、具体的にはどのように評価されるか気になる受験生も多いでしょう。

そこで今回は、総合型選抜の学力検査について、以前のAO入試からの改善点や実施内容、試験の種類別の対策方法をご紹介します。

総合型選抜と旧AO入試の違いは学力を重視する点

机の上の勉強の積み木

総合型選抜とはAO入試の新しい名称ですが、単に呼び方が変わったわけではありません。単に人物を見るだけではなく、学力も重視する内容になった点が、総合型選抜と以前のAO入試の大きな違いのひとつです。

文部科学省は、以前のAO入試から総合型選抜に切り替わる際に、評価方法として、次のいずれかの方法による学力検査を必須としました。

  • 各大学が実施する小論文、プレゼンテーション、口頭試問、実技、学科テスト、資格・検定の成績など
  • 大学入学共通テスト

つまり、大学側が求める学力基準を満たさなければ、いくら人物が素晴らしくても合格できない可能性があるのです。総合型選抜の出願条件に平均評定や資格試験の点数などの基準を設ける大学、学科試験を実施する大学も増えており、以前のAO入試のようには学力を度外視できなくなりました。

【大学編入試験サクセス】

<大学総合型選抜 合格体験談>

栃木県 S・Wさん
30個の頻出テーマに絞られている学部別の論文最強ワークで合格! 

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総合型選抜で学力を評価する方法

ステップアップする男性

総合型選抜で学力を評価する方法には、次のようなものがあります。

  • 面接試験(口頭試問)
  • プレゼンテーション
  • 共通テストなどの学力試験
  • 学校での成績や資格
  • 資格検定試験の成績

実施内容は大学によって異なるため、志望校の情報を事前に確認しましょう。以下でそれぞれどのような試験かを解説します。

小論文試験

総合型選抜の小論文では主に、漢字力、表現力、論述力などが学力評価の対象です。出題形式は、大きく4つあります。

  • 議題論述:テーマについて自分の考えを述べる形式
  • 文章読解:文章の内容を要約して意見を述べる形式
  • 資料分析:表やグラフから情報を読み取る形式
  • 教科試験:特定の教科の基礎学力を測る形式

いずれの形式でも、与えられたテーマを的確に理解したうえで、正しい文章で自分の意見や主張を具体的かつ論理的に述べられるかどうかが重要です。

面接試験(口頭試問)

学習意欲や自主性や協調性などの性格、礼儀などの人間性を見ることが、面接の主な目的です。加えて、学力評価の一環として、専攻分野への理解や関連教科の基礎学力を確認するための「口頭試問」を行う大学もあります。とくに理系では、口頭試問を実施する大学が増えています。

口頭試問でよく見られるのが、事前に提出した志望理由書や小論文などの記述内容をもとに、一歩踏み込んだ内容が質問されるケースです。そのため、提出物に書く内容は、体裁だけを整えるのではなく、自分できちんと理解していることが求められます。

プレゼンテーション

総合型選抜で、プレゼンテーション(提案型の発表)を課す大学もあります。プレゼンテーションのテーマでよく見られるのは、大学で取り組みたい課題についてです。また、これまでの自身の活動や、専攻分野に関する自分のアイデアなどがテーマとなるケースもあります。

プレゼンテーションのスタイルは、大学によりさまざまです。資料持ち込みの可・不可や使える資料の形式など細かいルールが決められていることが多いため、志望校の募集要項をきちんと確認しましょう。

共通テストなどの学力試験

文部科学省は、総合型選抜の選考方法として、大学独自の学力検査のほかに、共通テストの活用も推奨しています。そのため、国公立大学を中心に、総合型選抜で共通テストの受験を課す大学は増加傾向です。

共通テストを利用する総合型選抜における共通テストの得点率は、一般選抜のボーダーラインよりも高いケースが多いといわれています。共通テストを視野に入れて学科の勉強にも力を入れなければ、合格は難しいでしょう。

また、共通テストを利用する場合、総合型選抜の合否判定が共通テストが実施される1月以降になる点にも注意が必要です。

学校での成績

総合型選抜では、高校3年間の5段階評価の成績を平均した「評定平均値」も合否の判断基準になることがあります。

さらに総合型選抜では、受験生が書いた志望理由書や面接などの内容から読み取れる人物像も、合否を決める大きな基準となります。そのため一般的には、総合型選抜で学校の成績だけで合否が決まることはありません。しかし、大学によっては、出願基準に「評定平均◯点以上」と定めていることがあるため注意しましょう。

資格検定試験の成績

所持している資格や検定試験の点数なども、総合型選抜で学力を評価する資料となります。大学によっては、「専攻分野に関する資格を所持していること」「検定試験で一定以上の得点を取っていること」を出願条件としていることがあるため、早い段階での確認が必要です。

また、特定の資格を所持していると、試験の一部が免除されるケースもあります。出願条件や優遇条件として特別に指定がない場合も、資格を所持していることは、特定分野に関する知識や理解、学習意欲のアピールになるでしょう。

総合型選抜の学力面の対策ポイント

インターネットで学校を選ぶ人

総合型選抜では、学力面の評価も決して軽視できません。そのため、志望理由書や活動報告書、面接など人物評価の対策と合わせて、学力面の対策にも力を入れましょう。評定平均や資格などに関しては、総合型選抜を意識して、できるだけ早めに対策を取ることが重要です。とくに評定平均は日頃の成績がそのまま反映されるため、普段から授業や試験に真面目に取り組みましょう。

そのほかのことについては、受験を本格的に意識する時期からの対策でも間に合います。大学によっては過去のテーマや問題を公開しているため、活用するのがおすすめです。以下で、小論文試験、面接試験(口頭試問)、学科試験について、対策のポイントをみてみましょう。

小論文試験

小論文では、テーマに対する問題意識や論理的な思考力、総合的な知識が必要です。そのため、日頃から本や新聞を読み、幅広い知識や時事に対する関心を養うことが欠かせません。いろいろな文章を読むことは、読解力の訓練にもなります。

総合型選抜の小論文では、自分の意見や主張を、具体的に、筋道立てて述べることが求められます。そのため、日頃から新聞などを読んで、自分の意見をまとめる練習をすることも有効な対策となるでしょう。

また、正しく文章が書けなければ、小論文の評価は下がります。原稿用紙に書く際のルール、文法、誤字脱字などを意識することを心がけましょう。できれば、過去の出題テーマをもとに本番どおりに小論文を書き、学校の先生などに添削をしてもらうと安心です。

面接試験(口頭試問)

面接(口頭試問)では、学力と同時に人間性も評価されます。大前提として、身だしなみやあいさつ、話す姿勢など、基本的なマナーの部分が疎かにならないよう意識しましょう。

口頭試問では、専攻分野に関係する教科の基礎知識を問われることがあります。文系なら英語や国語、社会、理系なら数学や理科などの高校3年間の内容は、最低限さらっておくのがおすすめです。

また、志望理由書や小論文の内容を踏まえた質問がなされるケースもあります。提出物に書いた内容についてしっかりと理解するとともに、関連する分野に関しても知識を広げましょう。高校に保管されている先輩方の受験報告書などを参考に、過去の口頭試問の傾向を確認すると、対策が立てやすくなります。

共通テストなどの学科試験

共通テストを含め学科試験が課される場合は、高校3年間の学習内容の復習や、過去問などを用いた試験対策が必要です。学科試験が合否判定でどの程度の比重を占めるのかは、大学によって異なります。

場合によっては志望理由書や面接など総合型選抜に特有の準備をするのと平衡して、一般選抜で受験する際と同じか、それ以上に学科の勉強にも力を入れる必要があるでしょう。総合型選抜の志望校を決めたら、試験の内容を確認して、早めに対策に取りかかりましょう。

総合型選抜の面接試験に関しては、当ブログの「総合型選抜の面接試験で押さえておきたい自己PRのポイントと対策」という記事に詳しく載っていますので、そちらも参照してください。

試験内容に合わせた学力面の対策に早めに取りかかろう

総合型選抜では、以前のAO入試とは異なり、学力も合否を左右する大きな基準のひとつです。総合型選抜の性質上、学力だけで合否が決まるわけではありませんが、学力面を軽視していると合格できない可能性が高いでしょう。

学力と一口に言っても、一般的なペーパーテストが実施されるとは限りません。小論文や面接、調査書の評定、資格や検定など、大学ごとにさまざまな方法で、学力の評価が行われます。総合型選抜を利用して受験する際には、志望大学の試験内容を早めにチェックして、実施内容に応じた対策を取ることが大切です。