公立中高一貫校の適性検査とは?出題内容や必要とされる能力を解説

適性検査で必要な6つの能力 実は重要「報告書」とは

公立中高一貫校は、6年間の一貫した教育により、子どもたちの自主性を尊重した教育が進められるなど充実したカリキュラムが特徴で、近年注目されています。その指導内容に魅力を感じ、お子様を進学させたいと考えている親御さんも多いのではないでしょうか。

しかし、「適性検査」と聞くとなんとなくイメージできるような、できないような、漠然とした気持ちになりますよね。「適性検査ってそもそも何?」というお声も当ブログに多く寄せられています。

そこで今回は、公立中高一貫校の特徴的な入学者選別の科目である「適性検査」について、内容や必要とされる能力・伸ばし方を解説します。公立中高一貫校の入学者選別は、学力試験が主な私立中高一貫校とは全く異なる形式をとっています。何が違うのか、最後まで読んであなた自身の目で確かめてください。

公立中高一貫校の適性検査とは

アイディアノート

公立中高一貫校の入学者の選抜においては、学力試験は行われません。代わりに、小学校からの報告書、適性検査、作文、面接などを組み合わせて、入学の可・不可を総合的に判断します。

適性検査の内容は学校によって異なります(※)が、教科横断型の問題が出題されることは共通しています。

※東京都立中高一貫校では一部の問題が共通化されています。

適性検査の問題は、大きく以下の3種類に分かれています。

  • 小学校で学習した内容の定着度と応用力を確認する問題
  • 資料や文章を理解して、自らの考えを論理的に表現する力を確認する問題
  • 写真や図、統計資料を用いて情報を読み取る力や計算処理能力、課題を発見し解決に導く工夫をする力などを確認する問題

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中高一貫の適性検査では応用力を問われますが、小学校で習うことがベースになっています。要点解説講座を使うことで、小学校の学習内容で最重要問題を学習できたので、中高一貫の試験問題が格段に解きやすくなっていました。

音声講義は5分で1問なので子供も飽きずに、繰り返し聞き続けることもできました。

志望校の問題集で傾向をおさえられましたので、自宅での受験対策に非常に適したセットでした。

適性検査で必要な6つの能力

公立中高一貫校の適性検査では、特に次のような能力が必要となります。

  1. 応用力
  2. 読解力
  3. 論理的に考察する力
  4. 自分なりに考える力
  5. 作文力
  6. 時間配分能力

以下で、それぞれの能力や伸ばし方について詳しくみていきましょう。

1.応用力

適性検査では、単純に知識を聞く問題ではなく、小学校の学習内容を下敷きにした応用力を問われる問題が出題されます。そのため、教科書の内容を理解していることは大前提です。教科書の内容をひととおり覚えるだけでなく、深く理解するよう心がけましょう。

そのうえで、教科書の内容について「なぜそうなるのか」という過程を説明したり、別の事例や身近なことがらなどに置き換えて考えたりする力が応用力です。応用力を鍛えるために、普段からさまざまなことに興味を持ち、疑問に思ったことは自分で調べて解決する習慣をつけるとよいでしょう。

2.読解力

中高一貫校の適性検査の問題は、ほとんどが長い文章を読ませる形式です。そのため、問題の意図や回答に必要な情報を正確に読み取るためには、読解力が必要となります。

高い読解力を身に付けるために、日頃からさまざまなジャンルや形式の文章をたくさん読むとよいでしょう。多くの文章に触れることで、多様な語彙や文型を知ることができます。また、文章を読むことに慣れるにしたがって、要点や主張を掴む力も身に付いていくはずです。

3.論理的に考察する力

与えられた情報から正しい回答を導き出すためには、論理的に考察する力が必須です。論理的な考察とは、根拠をもとに物事を区別したりつながりや関係性を判断したりすることです。次のような手法を用いて、考えられるようになるとよいでしょう。

  • 必要な情報や条件を整理する
  • 視点を変えて考える
  • データの類型や因果関係を掴む
  • 資料を比較して共通点・相違点や変化をとらえる
  • ルールに則って数を操作する

論理的な考察力を身に付けるためには、日常の会話のなかで親が「なぜ?」「たとえば?」を積極的に問いかけることなどが効果的です。

4.自分なりに考える力

適性検査では、社会問題、時事問題が出題されるケースもあります。そのため、自分なりに考えて独自の意見を持つことが必要です。

普段から、新しい出来事や社会問題などに幅広く興味を持ち、身の回りのことがらと結びつけるなど、自分なりに考えてみる習慣をつけるとよいでしょう。新聞やニュースに毎日目を通し、気になることをメモしたり、家族で話したりするのもよいトレーニングになります。

5.作文力

適性検査の問題の多くは記述式です。そのため、導き出した回答や自分の考えを正確に記述するための作文力も欠かせません。作文力を身に付けるには、伝えたいことを的確に書き表すための語彙を増やすことが必要です。さまざまな文章を読んで、多様な語彙に触れるとよいでしょう。

書くことに関しては、とにかく慣れることが大切です。まずは考えを口にして話すことからはじめ、整理して話せるようになったら、文章を書くことに移るのがおすすめ。さらに書くスピードが上がってきてから、主語と述語、5W1H、序論・本論・結論といった構成を整えることに移行すると、嫌にならずに続けられます。

6.時間配分能力

公立中高一貫校の適性検査は、高度な知識や技術を必要としません。その代わりに「問題を解くためには多くの情報を認識し、情報をもとに考察する」「意見や企画を創造するといった段階を経て、回答を組み立てて表現する」といった多くのプロセスを踏む必要があります。もちろん検査には制限時間があり、時間を上手に配分する能力がなければ与えられた時間内に回答にたどり着けません。

時間配分能力を身に付けるには、適性検査の出題形式への慣れが必要です。受検校の過去問題を手に入れて、本番同様に時間を計りながら解いてみましょう。他校の過去問題や模擬試験なども利用して、多くの問題を時間配分を考えながら解いてみることで、適切なペース配分の感覚が身に付くはずです。

試験対策では挽回ができない報告書も大切に

黒板のある教室

公立中高一貫校の入学者選別では、適性検査とともに報告書の点数も重視されます。報告書の点数は小学校5年生および6年生(または4、5、6年生)の8科目の成績を学年教科ごとに三段階に点数化したもので、過程に配布される通知表の点数とは異なります。報告書は密封して受検校に提出するため、本人や保護者は点数を知ることができません。

適性検査と報告書の配点の比率は学校ごとに違いますが、東京都の公立中高一貫校を例にとると80:20とする学校が多いようです。報告書の点数は5年次(または4年次)からの学習状況の積み重ねで決まるため、適性検査対策では挽回できません。受検対策は大切ですが、日頃の学校での学習も疎かにならないよう、しっかりと取り組むことが大切です。

日頃から適性検査の対策を意識しましょう

適性検査を通過できる力を身につけるには、教科書の内容への理解を深め、日頃から読書や作文の練習、身の回りの出来事や社会問題への考察といった対策を習慣にすることが大事です。

公立中高一貫試験では、面接も行われます。以下の記事では、面接で評価されるポイントやよく聞かれる質問などについて解説しています。ついつい面接は後回しにしがちですが、適性検査対策と同時並行して、他の受験生に差をつけましょう。