中学受験対策の塾はいくら?通塾費用の比較と塾選びのポイント

予算に見合う塾選びを コツや塾以外での対策も紹介

中学受験に向けて塾に通わせることを検討している保護者の方は「進学塾にはどれくらいの費用がかかるの?」「塾を選ぶ時には何を基準にすれば良いの?」など、さまざまなお悩みや不安を抱えているのではないでしょうか。

「せっかく塾に通わせるなら、子どもの学力を最大限伸ばせる環境を選びたい」「でも、できるだけ塾の費用は抑えたい」と考えるのは、多くの保護者に共通した気持ちですよね。

そこで今回は、大手の学習塾に通う場合の具体的な費用や、塾選びの際にチェックしておきたい4つのポイントについて解説しています。塾に通わない場合の受験対策法なども紹介していますので、ぜひ最後までご覧ください。

大手の学習塾に通うと年間いくら

飛び立つ宇宙船

文部科学省が実施した「平成30年度子供の学習費調査」によると、小学生1人あたり学習塾費の平均は、公立小学校に通う生徒で5万3,313円、私立小学校に通う生徒で25万2,790円です。

学年別の金額をみてみましょう。

学年平均年間学習塾費(公立小学校/私立小学校)
1年生1万7,991円/11万4,452円
2年生3万278円/12万1,978円
3年生4万629円/16万2,612円
4年生4万7,773円/25万7,528円
5年生8万4,579円/38万4,113円
6年生9万6,289円/48万5,494円

公立小学校では5年生以上、私立中学校では4年生以上の学年で、学習塾費がはね上がっていることが見てとれます。4~5年生は一般的に中学受験勉強が本格化する学年です。受験を視野に入れた塾やコースに通う生徒が増えることが、塾費に影響すると考えられるでしょう。

それでは、学習塾に通うと具体的にはどのぐらいの費用が必要かというと、通う塾や学年、指導形式などによってかなり幅があります。参考として、大手学習塾3つをピックアップして、かかる費用や内訳をみてみましょう。(※2021年8月時点。月謝などの金額は一例であり、地域・教室、時期、選択科目などの条件により異なります。)

栄光ゼミナール

コース

対象学年

教科

クラス形式

月謝(税込)

ジュニアコース

1・2

算数、国語

少人数クラス

9,900円

中学入試準備コース

3・4

小3:算数、国語 (9月から4科)

小4:算数、国語、理科、社会

少人数クラス (通塾型または双方向オンライン型)

1万3,200~2万9,700円

私国立中入試対策コース

5・6

算数、国語、理科、社会

少人数クラス (通塾型または双方向オンライン型)

4万8,950~6万500円

難関私国立中入試対策コース

6

算数、国語、理科、社会

少人数クラス (通塾型または双方向オンライン型)

2万9,700~6万500円

その他費用

●   入塾金:2万2,000円

●   維持費(施設使用料、冷暖房費など):月額1,320~3,500円

●   テスト費

●   教材費

ITTO個別指導学院

コース

対象学年

教科

クラス形式

月謝(税込)

スタンダードプラン(週1回)

1~6

国語、算数、理科、社会、英語

講師1名×生徒3名(個別ブース)、50分または80分、教科書に沿う内容

8,000~1万1,900円

スタンダードプラン(週2回)

1万5,200~2万2,600円

フリープラン

講師1名×生徒1~3名、50分または80分、時間・教科自由選択

7,700~17,500円

その他費用

●   入会金:1万3,200円

●   年会費:1万1,000円

●   教材費:1科目平均3,000円~4,000円

※入会金・年会費の兄弟割引あり、教室管理費や設備維持費などの費用なし

早稲田アカデミー

コース

対象学年

教科

クラス形式

月謝(税込)

スーパーキッズコース(私国立中受験)

1・2

国語、算数

習熟度別少人数クラス

1万5,400円

ジュニアコース(私国立中受験)

3

国語、算数、社会、理科

2万4,200円

Sコース(私国立中受験)

4・5・6

2万7,720~4万5,210円

Tコース(公立中高一貫校対策)

5・6

2万6,730~3万140円

Progressコース(最難関高校志望者)

5・6

英語、算数、国語、理科、社会(5年生は英語、算数、国語、)

習熟度別少人数クラス(英語はオンラインレッスンあり)

5,060~1万9,580円

その他費用

●   入塾金:2万2,000円

●   年会費:月額1,870~2,900円

●   教材費

●   テスト代

中学受験に通塾が有効な理由

中学受験対策として通塾が効果的とされるのには、次のような理由があります。

  • 中学受験のノウハウが豊富
  • 受験までのスケジューリングが緻密

中学受験に対応している進学塾は、中学受験に必要な勉強量や、志望校ごとの出題傾向や対策方法といったノウハウを、豊富に持っています。塾が生徒に提供するのと同等の質や量の情報を個人で集めようとすると、膨大な時間と労力を費やす必要があるでしょう。

また、塾では受験勉強の総量を見越した、緻密なスケジュールが組まれています。習熟度の把握や学習内容の定着促進のために、テストも計画的に実施されるのが一般的です。家庭で綿密に学習計画を立て、それに沿って自学を進めるのは非常に大変で、つまずいてしまうことも少なくありません。

塾に通うことで、必要な情報の入手や効率的な学習が可能となり、無駄の少ない受験対策が実現するわけです。

【中学受験における志望動機の書き方や例文はこちら】

中学受験において、学校側が受験生に対する第一印象となるのが志望動機です。面接試験でも重要になる志望動機の書き方やその例文について、詳しく解説します。

中学受験のための学習塾の選び方

通塾は中学受験対策に効果的ですが、どのような塾でも通いさえすればよいわけではありません。中学受験のための学習塾を選ぶ際には、次のようなポイントをチェックしましょう。

  • 志望校の合格率に注目する
  • 雰囲気が子どもに合う塾を選ぶ
  • カリキュラムや授業ペースを確認する
  • 通いやすさ(立地・治安・交通手段)をチェックする

それぞれのポイントについて、以下で詳しく解説します。

志望校の合格率に注目する

塾の実力をはかる数字として、分かりやすいのが合格実績です。合格実績をチェックする際には必ず、志望校の合格実績に注目しましょう。この数字によって、志望校の受験対策に期待できるかどうかがわかります。

また、大切なのは合格人数ではなく、何人中何人合格したかという合格率で判断するということです。受験人数100人に対して50人合格したケースと、50人受験して40人合格したケースでは、後者の方が実績が高いと判断できるでしょう。

雰囲気が子どもに合う塾を選ぶ

塾の指導方針や雰囲気が、子どもに合うかどうかも重要な判断基準です。子どもとの相性が悪い塾では、通うことが苦痛になってしまい、続かない可能性があります。

指導スタイル(集団・個別)やクラス分けの方法、講師の印象などを子どもと一緒にチェックして、本人の意見をしっかり聞きましょう。見学や体験授業、短期講座への参加などを積極的に利用して、雰囲気を肌で感じてみるのがおすすめです。

カリキュラムや授業ペースを確認する

具体的なカリキュラムや進行ペース、持ち帰る課題の量なども、チェックしておきたいポイントです。子どもの体力や生活、塾以外の活動なども考慮して、無理せずにこなせるカリキュラムでなければ、子どものやる気を削いでしまうことになりかねません。

負担が重すぎると、学校での活動に支障をきたす場合もあります。教材を見せてもらうなどして、一週間にこなさなければならない学習量を確認しましょう。

通いやすさ(立地・治安・交通手段)をチェックする

塾に通う時間帯は、基本的に夕方以降です。家から遠い場所や治安の悪い場所にある塾を選んでしまうと、行き帰りにトラブルに巻き込まれる危険があります。また、通うのに時間がかかりすぎると、疲れるうえに帰宅してからの時間が削られ、リフレッシュも難しくなるでしょう。

親御さんの送迎が難しい場合はとくに、できるだけ自宅から近く、子ども1人でも安全に通える立地の塾を選ぶのがおすすめです。

塾以外で効率的に中学受験対策ができる方法

自宅の机に置かれた時計とプリント

経済的な理由や子どもの性格などを考えると、塾に行かせることに不安を感じる親御さんもいるでしょう。塾に行かない場合も次のような方法を使えば、効率的に中学受験対策をすることは可能です。

  • 家庭教師や通信教育を活用する
  • 家族が徹底的にサポートする

それぞれ、詳しくみていきましょう。

家庭教師や通信教育を活用する

塾に通わず、通信教育や家庭教師など、自宅でプロの指導を受ける方法もあります。これらの方法は塾と比べると時間の融通をつけやすいため、学習以外の活動と両立しやすい点がメリットです。

また、家庭教師や通信教育は、ある程度自分の学習進度やペースに合わせて学習内容の調整が効きます。進学塾の成績を競い合ったり早いペースで授業が進んだりする点が合わないと感じる子どもにとっては、ストレスが少なく学習に取り組めるでしょう。

このほか、学習アプリや動画、学習漫画など、参考書や問題集以外の学習ツールを取り入れるのも効果的です。

家族が徹底的にサポートする

中学受験対策において塾が果たす大きな役割は、受験までのスケジューリングや志望校に関する情報や対策ノウハウの提供などにあります。塾以外の方法で効率的に中学受験対策をするには、こういった点について親御さんやそのほかの家族が徹底的にサポートすることが必要不可欠です。

志望校の情報収集や教材の選定、受験までの学習計画作り、進捗や習熟度のチェックなどを、家族と子ども本人が二人三脚で乗りきれれば、塾に通わずに中学受験に合格することも夢ではありません。

ただし、子どもが勉強に専念できるように、また、塾に通うのと比べて不利にならないように環境を整えてあげる作業は、非常に労力を必要とするものです。子どもとともに、何がなんでも困難を乗り越える覚悟をもつことが大切です。

費用に見合う塾選びをし

塾選びをする際には4つのポイントのほかにも、塾講師の指導方法や実績などについてもしっかりチェックして費用に見合う塾を選びたいものです。金銭面だけでなく通塾の良し悪しやお子様の意志をふまえた上で、どうするかを慎重に検討しましょう。

中学受験を目指す子どもの勉強時間について詳しく知りたい!という方は、以下の記事がおすすめです。中学受験で勉強効率をあげるための5つのポイントについても紹介していますので、ぜひご覧ください。