↓ 本記事の内容をざっくり4分で解説しています ↓
総合型選抜は従来のAO入試から改称された入試方法です。選考には書類審査に加えて面接試験が実施されます。
今回は、総合型選抜の面接試験で役立つ自己PRのポイントをご紹介します。面接試験の種類やプレゼンテーション形式のポイントもまとめました。対策をしておけば落ち着いて面接に挑めます。ぜひ参考にしてみてください。
大学入試の総合型選抜に関しては、当ブログの「大学入試の総合型選抜とは?推薦・一般入試との違い」という記事に詳しく載っていますので、そちらも参照してください。
総合型選抜は面接試験対策が必須
大学入試は、一般入試・総合型選抜・学校推薦型選抜の3つの入試方法があります。従来のAO入試(アドミッション・オフィス入試)は2021年に総合型選抜へ、学校推薦型選抜は推薦入試へ改称されました。
総合型選抜は大学が掲げる「アドミッション・ポリシー(求める学生像)」に合致している生徒であるかを評価します。調査書や志望理由書などの書類選考に加えて、面接試験も実施されます。大学からすると、面接では受験生本人と話すことができる機会です。中にはAO入試を引き継いだ面接試験重視の大学もあるため、対策は必須です。
面接試験を重視する大学や学部や学科ごとにアドミッション・ポリシーが設定されているケースもあります。志望大学の出願要項を確認しておきましょう。
自己紹介との違いを理解しておく
大学入試の総合型選抜の面接で求められているのは、自己紹介ではなく自己PRです。自己紹介と自己PRの違いを理解しておかなければ、面接官にうまく伝えることができません。
自己紹介は聞き手に向けて自分の氏名や出身校、特技など自分のことを簡単に伝えます。対して自己PRは自分がどのような人間であるのか、経験を交えてアピールするものです。経験とともに志望理由も伝えましょう。入学後の活躍が想像できるような自分の「強み」をしっかりアピールすることが大切です。
【大学編入試験サクセス】
<大学推薦 合格体験談>
愛知県 M・Aさん
サクセスさんの総合型選抜の記事を読み、志望理由書ワークを使って正解でした!
志望理由書や自己PRに身が入らず、文章に自信がなくて悩んでいたときに、ネットでサクセスさんの総合型選抜の記事を読みました。
学部に特化した対策ができるのがいいなと思って親に買ってもらい、志望理由書ワークはとっかかりやすく、特に3つの型を学んで自分のものにできたのが自信につながり、合格を勝ち取ることができました。ありがとうございました。
総合型選抜の面接試験の種類と対策
面接試験は「個人面接型」「集団面接型」「討論型」「口頭試問型」「オンライン形式」という種類があります。それぞれの種類について解説します。
個人面接型
個人面接型は一般的な面接方法です。面接官と対面に座り、1対1で行われます。個人面接型ではアドミッション・ポリシーに合致しているかどうか、調査書や志望理由書をもとに質問をされます。書いた内容と整合性が取れないようでは、面接官から不信に思われるため、提出前にコピーを取っておいておくと面接練習に使えます。
「志望理由」「将来の夢・就きたい仕事」「高校生活の思い出」「長所・短所」「自己PR」がよく聞かれる質問です。経験や意見を交えてわかりやすく伝えましょう。
集団面接型(グループ面接)
集団面接型は受験生3~5人、面接者3~4人で机を間に挟んだ形などで実施されます。よく聞かれる質問は「職業の志望理由」「自分の長所・短所」など個人面接と同じような内容です。面接官が受験生1人に対して質問をしたときは、他の受験生は発言を控えて静かに聞きます。共通質問の場合は、他の受験生の発言を聞いた上で自分の意見を伝えます。
他の受験生の答えに対してどう思うか意見を求められることがあるため、感情的に否定したり、ひとりよがりな発言をしたりしないように気を配りながら発言してください。他の受験生の意見に圧倒されて、萎縮してしまうと面接官の印象に残りません。意見の伝え方を学んでおきましょう。
討論型(グループディスカッション)
討論型面接はグループディスカッション型とも呼ばれ、受験生同士で1つのテーマについて話し合う方法です。面接官が質問をしたり意見をしたりすることはなく、あくまで受験生同士で議論します。テーマは学部や専攻学科によって異なります。いくつかの大学で実施された討論型面接のテーマは以下のとおりです。
- 慶応義塾大学(2021年法学部)…「多様性」の過去と未来
- 鳥取大学(2020年地域学部地域学科国際地域文化コース)…「女性の就労・社会進出」について
- 九州共立大学(2021年経済学部)…新聞の政治・経済・社会面の時事問題について
討論型面接のテーマは第1次選抜で実施される小論文と同じテーマで実施する大学もあります。出願要項を確認して備えましょう。
口頭試問型
口頭試問型の面接試験は、面接官が学科や専攻関連の基礎知識を確認するために行われます。難しい問題が出題されることはなく、あくまで教科書レベルの問題が中心です。一般選抜の対策も行っていれば問題はないでしょう。念のために学科や専攻関連の知識をつけておいてください。
論理的な思考力の確認のため、解答の過程の説明を求められることがあります。論理的にわかりやすくまとめることで、高い評価を得ることが可能です。また、口頭試問型では学習意欲を確認するために、時事ニュースなどに対する意見を求められることもあります。こうした質問から普段の生活も見えてくるため、日ごろから意識して生活を送ることが大切です。
オンライン形式
感染症拡大の影響を受けて、オンライン形式の面接試験を実施する大学も増えてきました。やり方は大学によって異なりますが、ZOOMをはじめ、スマートフォンやパソコン向けのアプリにあるテレビ電話機能などが使われることがあります。
事前に要項を確認して、面接に必要なシステムを用意しておきましょう。面接前に使用機器や環境の確認や接続テストが実施されます。デスクの上には面接に使用するパソコンや受験票以外は置かないようにしましょう。
対面形式ではありませんが、身だしなみは整えて参加してください。もちろん面接中の飲食もしてはいけません。面接官と話すときは、カメラのレンズを意識して普段よりもはっきりと大きな声で話すと伝わりやすくなります。通信環境が原因でタイムラグが起きてもあわてずに対応すれば大丈夫です。
総合型選抜の面接の質問と自己PRポイント
総合型選抜の面接でよく聞かれる4つの質問をまとめてみました。参考にしてみてください。
質問1|なぜ本校を志望したのですか?
志望理由書に記載している内容を面接でも聞かれることがあります。あっているのか確認するために聞かれていることもありますが、だからといって丸々同じ内容を伝えるのは避けましょう。志望理由書の内容と大きく差がつかないように、書いていない内容を伝えることでより印象づけることが可能です。
福祉系や体育系、芸術系大学などの面接試験では、各専門分野における知識を聞かれることがあるため、その分野に関する時事問題や知識などを事前に学んでおきましょう。もちろん、わからないときは誠意をもって伝えることが大切です。
質問2|長所や短所を教えてください
自分を客観視できているかどうかを確認されている質問です。長所と短所をいくつか紙に書きだします。長所がなかなか探せないときは、短所を言い換えてみましょう。例えば以下のように変えることが可能です。
長所 | 短所 |
慎重・責任感がある | 心配性 |
リーダーシップがある | 仕切りたがり |
好奇心旺盛 | 飽き性 |
集中力がある | 視野が狭い |
決断が早い | せっかち |
このように長所と短所は表裏一体でもあります。伝え方次第でどちらにも表現できるので、迷ったときは参考にしてみてください。伝えるときは部活動や委員会活動など、高校生活のエピソードをもとにするとよいでしょう。
短所が原因で起こったことや、そこから学んだことやどのように改善していこうと思っているのかなど、短所をそのままにせず改善しようと試みている様子がわかるように伝えることがコツです。この質問は就職活動の際にも役立つのでコツを覚えておいてください。
質問3|高校生活の思い出を教えてください
部活動や委員会活動、文化祭など高校生活全般における思い出について、自分の意見を交えながら伝えます。面接官から深堀りの質問をされても、すぐに応えられるように高校生活で経験するあらゆる活動において、意欲的に主体性をもって取り組むことが大切です。
部活動での活躍や取得している資格や検定等は、大学側へ提出している調査書にも記入されています。面接官が調査書を見て質問してくることも想定して、答える内容を用意しておきましょう。
質問4|将来の夢を教えてください
将来なりたい職業と志望校での学びが合致しているかを確認されている質問です。教育大学であれば教師、医学系なら医師や看護師など志望している大学や学部の卒業後がイメージできるものを答えるとよいでしょう。
もし全く違う分野の職業に就くことを目指している場合や夢や目標が定まっていない場合は、理由について明確に答えても構いません。入学後、大学で学びながら見つけていきたいという今の思いをしっかり伝えることが大切です。
総合型選抜はプレゼンテーション形式もある
総合型選抜は、大学側が与えた課題の研究結果を発表するプレゼンテーション形式で実施している大学もあります。志望理由書や小論文、書類審査を第1次選考で実施した後、第2次選考でプレゼンテーションを行います。
プレゼンテーション形式を実施している大学は多くはありませんが、プレゼンテーションの審査結果で合否が決まります。質疑応答もあるため、対策は必須です。志望校の選考方法がプレゼンテーション方式でないか調べておきましょう。
プレゼンテーション形式の実施例
総合型選抜でプレゼンテーション形式を導入している大学の実施例をまとめてみました。
大学名 | 課題 | 試験当日に持参するもの | プレゼンテーションの時間 |
関東学院大学 | 「多様な文化の共存を阻害するような事例」の調査 | ・要約(docx形式)の提出 ・模造紙(掲示用)にまとめる ・資料を全て電子データにまとめる | ・20分 ・質疑応答・面接含む |
東洋大学(法学部) | 大都市に拠点を持つ大企業1社をどの地方にでも誘致できるとしたら、どの企業をどこに誘致するか等 | 3,000文字以内にまとめて、左上をホチキスで止めたものを3部提出 | ・5分 ・質疑応答あり |
日本大学経済学部 | 第1次選考で提出した小論文内容を深堀した研究 | 黒板・模造紙・パソコンなどを使用可 ※詳細は第2次選考者のみ通知 | ・20分 ・質疑応答を含む |
同じ大学でも学部によって選抜方法などが異なります。時間厳守の大学もあるため、ギリギリにならないように10分以内を目標に練習しておきましょう。
総合型選抜のプレゼンテーション対策のポイント
高校生でプレゼンテーションを行う機会は少ないため、慣れていない生徒がほとんどです。10分程度の限られた時間の中で、初めて会う面接官にわかりやすく伝えるには、以下の3つのポイントを押さえてくり返し練習しましょう。
- 1~3分間プレゼンをくり返し練習して「簡潔に伝える」スキルを身につける。
- プレゼンが上手い人の真似をする。
- 他者に見てもらうことで改善点を指摘してもらう。
- 質疑応答の練習をしておく。
これら以外にも大きな声ではっきりと話したり、抑揚をつけたりすると面接官に伝わりやすくなります。
総合型選抜の面接試験対策は早めに取り組もう
大学入試の種類は総合型選抜、学校推薦型選抜、一般選抜があり、大学や学部によって選抜方法は異なります。面接試験はどの選抜方法でも実施されますが、中でも総合型選抜は面接試験を重視する大学もあるため対策は必須です。
2021年からは「大学入学共通テスト」も利用されることになったため、学力の維持と向上に努めながら面接対策を行うことが大切です。早めに志望校を決めて、今回ご紹介した対策やポイントをふまえてくり返し練習をしましょう。習得したスキルは就職活動時にも活かすことができます。お子様をサポートしてあげてください。