ここ数年、「どんなことに気をつけて学校選びをするべき?」と、迷いに迷っている保護者の皆さんからのお問い合わせをよくいただきます。以前のように「地域の公立中学校に通うのが当たり前」ではなく「子どもの個性に合わせた学校を選びたい」「将来を見越した学校選びをしたい」という家庭が増えているのがその大きな理由になっています。
そこで今回は、学校選びで役立つ5つのポイントを解説します。親からすると、偏差値や進学実績ばかりが気になることもありますよね。私立中学校に入学してから後悔しないためにも、5つのポイントを確認して、学校選びは慎重に進めましょう。
校風や特色は学校によってかなり違う
私学は独自に定めた建学の精神のもと、特色あるユニークな教育を実践しています。例え子どもが学校の特色に興味をもっていても、親としてはできるだけ偏差値が高い学校へ通わせたい気持ちになりがちです。
しかし実際に各学校によって校風や教育・学習への取り組みなど大きく違っており、学校選びにあたっては、十分な事前調査をおすすめします。
例えば次のような特色のあるカリキュラムをもつ中学校があるので、ぜひチェックしてみてください。
- 理学部研究室を体験できるなど理科がもっと身近になる
- ロボットコンテストに参加するなど最先端のIT教育に触れられる
- 学校生活は英語主体なので、多くの授業を英語で受けられる
- 学年ごとのカリキュラムに縛られず、好きな講座を選んで学べる
- 漁業・林業・農業など多彩なフィールドワークに参加できる
多感な中学時代を過ごす環境は、子どものその後の人生の在り方に大きな影響を与える可能性があります。そこで我が子にふさわしい中学校かどうか、慎重に見極める必要があるといえるでしょう。
お子さまにあった中学校選びの5つのポイント
我が子に合った学校選びとは、一体どのように進めるべきなのか…。中学受験を決めたものの、学校選びで悩んでいるご家庭も多いはずです。中学受験の段階では、中高一貫で6年間通うことを想定している場合がほとんどなので、なおさら学校選びには力が入りますね。
ここでは中学受験における学校選びのポイントを5つご紹介します。
- 偏差値のゾーンごとに候補の学校を選ぶ
- 実際に足を運んで子どもの意見も聞く
- 学校の種類から候補をしぼる
- 自由あるいは規律を重視する校風なのかチェック
- 進学重視なのか、思考力を身につけるのか
偏差値のゾーンごとに候補の学校を選ぶ
第1志望校は、モチベーションを上げるために思い切って高みを目指すのも良い方法です。併願用の学校選びでは、偏差値表を利用してみてください。第1志望校より低い、偏差値ゾーンそれぞれから学校を探します。
例えば偏差値50、45、40から1校ずつ選ぶイメージです。環境・設備やカリキュラムの内容、さらに学校の伝統などの要素を考慮して、各ゾーンから気に入った学校を選ぶと良いでしょう。
実際に足を運んで子どもの意見も聞く
親子一緒に、さまざまな私立中学校へ足を運んでみましょう。
親としては、親の目線で「我が子に合った学校を選ぶ」意識が強いかもしれません。しかし子どもは、低学年でも親の前で見せる顔と学校・塾など外での顔を使い分けています。そのため、親は自分が思っているほど子どもが目指す先を知らない可能性もあるのです。
そこで一緒に中学校へ出かけて、子どもの率直な感想や意見を聞いてみましょう。子どもが最も行きたいと思う気持ちを尊重し、現実的に通学できる範囲から親子で学校選びをします。
中学受験では、子どもの主体性がモチベーションに大きく影響すると知ることが大切です。
学校の種類から候補をしぼる
学校の種類から、候補となる志望校をしぼりましょう。学校の種類とは、大きく次の3つです。
- 男子校・女子校あるいは共学
- 大学附属校
- 宗教系の学校
共学で賑やかに男女で交流するのも良いでしょう。一方男女別の学校を選んだ場合には、異性の目を気にせずに一緒に6年間を過ごすことになります。いずれの場合も、なかなか得難い経験が積めます。
大学附属校では受験勉強に追われずに大らかに過ごせるメリットがある一方、薬学部や医学部など、将来の進路にぴったりな学部がその大学になければ不利な状況が生まれることを知っておきましょう。
宗教を背景に設立された学校は、普遍的な概念を拠りどころにしており、時代の流れに翻弄されない安心感があります。
学校の種類でふるいにかけてから、各学校が打ち出しているカリキュラムや伝統などの要素で比較すると良いでしょう。
自由あるいは規律を重視する校風なのかチェック
校風が自由なのか、あるいは規律を重視しているのかは学校案内や公式サイトの情報だけでなく、実際にイベントの様子を見学して確かめると良いでしょう。
文化祭や体育祭など、学校のイベントをのぞいてみるのも1つの方法です。文化祭では自由度が測れますし、体育祭では規律の度合いを把握できます。さまざまな学校のイベントに参加すると、それぞれの学校がもつ自由と規律のバランスの違いを、より明確に実感できるでしょう。
学校のイベントに参加する際には、校長先生が学校の建学の精神を体現しているかどうか観察してみましょう。
なお文化祭や体育祭は学校生活の中の「非日常」的な側面もあるため、よそ行きの空気が漂っていることもあります。
そこで普段の様子をもっと知りたい場合には、下校時間に立ち寄ってみてはいかがでしょう。友達同士で、あるいは先生と生徒がどのようにコミュニケーションをとっているのか、ぜひチェックしてみてください。
進学重視なのか、思考力を身につけるのか
突出した進学実績などを前面に出してアピールしている学校では、カリキュラムの内容も進学重視で、しっかり受験対策できると考えて良いでしょう。
塾などの資料からは高い進学実績を誇ることが分かるのに、学校自体はさほどアピールしていない場合もあります。その場合には、思考力を身につけるカリキュラムが組まれていることが多いはずです。
候補の中学校の学校説明会には必ず行こう
中学受験における学校選びは、子どもの将来に大きな影響を与える選択です。親にとっては、偏差値の高さや有名大学への進学実績などのデータが気になりますが、学校説明会や文化祭などの機会があれば、データ以外の情報を集めるためにも、ぜひ参加するようおすすめします。
実際に中学校を訪れると、データだけでは読み取れない重要な情報を得られるからです。志望校の候補をいくつか挙げたら、できるだけ実際に見るために学校説明会の日程をチェックするようにしましょう。多くの中学校では年に複数回の学校説明会を開催していますが、まれに年に1回程度しか開催しない中学校もあります。
学校説明会などの機会に、ぜひチェックしておきたい項目は次のとおりです。
- 教育理念・指導方針
- 校風
- 先生や生徒の雰囲気
- カリキュラム
- 授業の進め方
- 部活動や課外活動
- 施設や設備
- 通学経路や学校周辺の環境
中学受験を思い立ったら、低学年のころからできるだけ多くの中学校のイベントに親子で積極的に参加することが大切です。情報収集以外にも、中学受験に向けて子ども自身の意欲が高まるというメリットがあります。
一緒に参加するたびに、子どもがどのように感じたか聞くことが大切です。参加するたびに感想を聞くと、子どものモチベーションに影響する要因を把握できるようになります。
さらに親子ともに学校を見る目が養われるので、活発に意見交換できるようになるでしょう。
特定の学校だけにこだわりすぎるのも良くない
特定の中学校に合格することだけが受験勉強の目的で、万が一不合格になったらすべてが無駄になるといった狭い価値観に親子で陥らないように注意しましょう。
特定の中学校に合格できない場合には、地元の公立中学校に進学する家庭の方針自体は、良し悪しを判断することではありません。
ただし特定の中学校に不合格になったら、すべてが無駄になり負け組になるという意識をもつと、子どもの自己肯定感にダメージを与える危険性があります。中学受験の経験が過酷すぎると、中学・高校以降の子どもの学習意欲にも悪影響がでるかもしれません。
中学受験における学校選びでは、ある程度の「幅」をもたせて選択肢をいくつか用意しておくことも検討してください。入学試験を受けたときに、子どもなりに感じることがあって心変わりするケースも想定しておきましょう。
子どもの希望や気持ちをよく聞き、親子でよく話し合いながら中学受験に挑みましょう。
子どもが行きたいと思える学校選びをしよう
中学・高校の6年間は、子どもの人格形成や卒業後の人生に大きな影響を与えます。学校選びは、子どもの意思を最大限尊重したいという気持ちはどの保護者でも同じ。ですが親の意向をつい強調したくなる気持ちもよくわかります。
主体はあくまでも子どもであることを忘れずに、「行きたい!」と心から感じられるような、学校選びをしましょう。
「志望動機の書き方が分からない!」という方は以下の記事をご覧ください。中学受験において、学校側が受験生に対する第一印象となるのが志望動機です。面接試験でも重要になる志望動機の書き方やその例文について、詳しく解説します。