近年、私立・国立の中学や公立中高一貫校などの学校が増え「良い中学に行って欲しいから」という理由で中学受験をさせたいという親御さんが多くなっています。
しかし、子どもが志望校に合格して実際に学校に通ってみると「勉強が厳しくてついていけない」「学校が合わない」などの事態になって、最悪の場合は退学…なんて事態も考えられないことではありませんよね。
すでに中学受験を決めたものの「本当にうちの子は中学受験するべきかどうか」とお悩みの方へ、今回は、中学受験のメリット・デメリットについて詳しく解説しています。中学受験に向いているかどうかのチェックポイントについても紹介していますので、最後まで読めば、受験すべきかどうか、見通しが立ちます。ぜひ最後までご覧ください。
受けた方がいい?中学受験4つのメリット
ここ数年、受験者数が増えているという中学受験ですが、メリットには何が考えられるのでしょうか。
高いレベルの教育が受けられる
私国立中学校や公立中高一貫校は、学校によって教育理念が大きく異なります。自由な発想力を伸ばすことを掲げている所や英語学習に力を入れている所、キリスト教などの宗教の理念に沿った教育を行っている所と、各々の学校で特徴があります。教育理念とお子様の資質が合うことにより、長所を伸ばすことができます。
内部進学で大学入学が可能
また、近年は大学附属中の人気も高まっています。大学附属中学の大きなメリットは、高校受験・大学受験をせずに進学が可能であること。特に最も頭を悩ませる大学受験を受けなくても済むというのは、もともと進学したい大学の付属校であれば、大きなメリットです。
ただ、全員が内部進学できるわけではなく、さまざまな条件がありますので不断の努力は必要です。もちろん、他の大学を受験することが可能ですので、高校受験や大学受験時に進路を変更することも可能です。
外部の大学でも受験に有利
中高一貫教育では大学入試をターゲットにした長期的な計画に基づいた学習を行っています。公立の中学よりも学習の進み具合が早く、一般的には高校2年生の時点で高校教育のカリキュラムを終わらせて、高校3年生のまる1年間、大学入試への対策を行うことができるため、大学受験に有利といえます。
中学受験自体の経験が貴重
中学受験では小学校では習わないことが多数出題されます。そのため、多くのお子様は小学4年生の直前から受験対策のための勉強を開始し、早い時点で膨大な知識を身につけていくことになります。
準備期間がより長いほど、計算力や暗記力だけではなく発想力などを伴うさまざまな知識が身につけられます。長い期間で培ってきた困難に打ち勝つための努力は、受験の合否に関わらず、後に大人になっても大きな財産となることでしょう。
受けない方がいい?中学受験3つのデメリット
中学受験はメリットだけではありません。ある程度の負担が必要ですし、場合によっては子どもにとって悪影響となりうることもあります。
- 経済的・精神的な負担が大きい
- 勉強以外に時間が割きにくい
- 友人関係の構築が難しい
経済的・精神的な負担が大きい
私立中学そのものの学費が高いこともさることながら、塾の授業料など中学受験の準備に必要な費用も多くかかるため、ある程度金銭的な負担は覚悟しなければなりません。
また、お子様にとっても思うようには学習が進まなかったり、模試の結果が悪かったりすることが考えられます。もし子どもが、自信をなくして精神的な負担を感じる場合には、勉強嫌いになってしまい進学先に関わらず勉強への意欲を失ってしまう危険性もあります。
勉強以外に時間が割きにくい
小学生のときは、学習塾以外に野球やサッカーなどのスポーツや、バレエやピアノ、習字などの芸術分野の習い事をさせる方も少なくありません。
しかし中学受験を計画する場合、小学校にいる以外の時間のほとんどを勉強にあてるほどの覚悟が必要となることもあります。例えば塾を優先した結果、学問以外の才能を伸ばすことが難しくなり、お子様の可能性を狭めてしまうかもしれません。
友人関係の構築が難しい
公立中学だと基本的には小学生のクラスメートと同じ中学に入ることになりますが、受験を経て入る私立中学の場合は、顔ぶれはバラバラです。偶然、同じ塾の生徒が入ることもありますが、中学に入って友達づくりを新たに始める必要があります。
また、住んでいる場所も離れていることが多く、休みの日に頻繁に集まって遊ぶのはやや難しいかもしれません。ただ、今はSNSの発達により、昔と比べてコミュニケーションは取りやすくなっている状況にありますし、中高一貫でより強固な仲間関係を構築するチャンスでもあります。
【中学受験における志望動機の書き方や例文はこちら】
中学受験において、学校側が受験生に対する第一印象となるのが志望動機です。面接試験でも重要になる志望動機の書き方やその例文について、詳しく解説します。
うちの子は向いている?中学受験を検討する際のチェックポイント
ここまでは中学受験のメリットとデメリットについて説明してきました。それを踏まえた上で、お子様が受験した方が良いのかどうか、3つのチェックポイントをまとめました。
- メリット・デメリットどちらを取るか
- 家庭の教育方針と一致しているか
- 何よりもお子様自身にやる気があるか
メリット・デメリットどちらを取るか
これまで紹介してきたメリットとデメリットについて、お子様に合致している内容か、合致している場合は、メリットとデメリットを天秤にかけて、どれを優先するのか考えてみましょう。
例えば、友達関係を新しく作って良いのであれば、友人関係についてのデメリットは考慮しなくても良いですし、高校受験であらためて進学を考えれば良いということであれば、中学受験は必ずしも行わなくて良いことになります。
家庭の教育方針と一致しているか
それぞれの家庭で教育方針があるかと思われますが、その方針に合った教育を受けさせたい学校があるかどうかも重要なポイントです。公立中学校にも校訓などはありますが、カリキュラムは同じため、あまり違いはありません。
お子様に合った教育環境を用意することは、親御さんにとって大事な役割の1つ。今一度、親御さんとお子様の間で教育方針の共有を行った上で、中学受験の必要性を考えてみましょう。
何よりもお子様自身にやる気があるか
小学4年になる前の時点で、お子様自らが中学受験を決意することはまれであり、多くは親御さんが中学受験をするかどうか決めるものと思われます。しかし、実際に受験するのはお子様です。そのためお子様自らが積極的な姿勢で勉強できるかどうかが、合否の分け目といえます。
「親から言われているから」といった気持ちで机に向かい、勉強へのやる気がなければ、塾の予習や復習だけではなく、学校の宿題も進まず、中途半端な状況になりかねません。それには、「なぜこの学校に行きたいのか」という中学受験の目標をしっかりと定めた上で、受験に向かう必要があります。
ただ、小学生のお子様にここまでの意識を要求するのは酷なもの。勉強をしようというやる気にも気分のムラがあるでしょう。モチベーションを高いレベルに保つようコントロールすることが、親御さんの大事な努めです。
中学受験にはご両親のサポートが必須
中学受験では、お子様本人の努力はもちろんのこと、親御さんのサポートが不可欠となります。下記に一例として、2021年8月時点における学習塾の授業料を挙げます。
2021年度授業料(月額・消費税込)
SAPIX(※1) | 日能研 | 四谷大塚 | |
4年生 | 41,800円 | 15,675~20,900円 | 19,800~36,300円 |
5年生 | 52,800円 | 19,228~26,334円 | 18,150~45,100円 |
6年生 | 59,950円 | 22,770~42,768円 | (9月まで)18,700~57,750円 (10月以降)18,700~79,750円 |
上記以外にも、入塾金や塾までの交通費、夏期冬期などの特別講習などがありますので、さらに費用がかかります。
また、親御さんのサポートは金銭面に限りません。塾が遠い場合は送り迎えが必要ですし、家での予習復習で遅くまで勉強する場合は、食事や健康のサポートがより必要でしょう。
中学受験を決める前によく考えよう
中学受験にはどんな学校を目指すにしろ、多かれ少なかれメリット・デメリットがあることがわかりました。しかし親としては「我が子にはできる限り良い環境で教育を受けさせたい」を考えるのは当然ですよね。
本当に受験して良いのかどうか、子どものやる気はあるか、親のサポート体制は万全かなど、さまざまな面から十分検討をして家族間での共通認識を持ちましょう。
中学受験の学校選びで悩んでいる方は、以下の記事をご覧ください。選び方の5つのポイントや、つい陥ってしまいがちなパターンについて詳しく解説しています。