私立の中学校へ進学する生徒が増えているなか、男子校にも注目が集まっています。
もともと私立は男女別学が多かったのですが、最近は共学化の流れが一般的になっていました。それなのに男子校が注目されているのは、どういう理由でしょうか。共学校にはない魅力やメリットが男子校にはあるはずです。中学受験のターゲットを決めるためには、男子校についても知っておく必要があるでしょう。
今回は中学受験に役立つ男子校の情報をご紹介します。
男子校を中学受験することが珍しくないのは、なぜ?
ここ数年、小学校を卒業した生徒の進路状況が変化しています。地元の公立中学ではなく私立中学を目指す生徒が増えており、東京都では卒業者全体の18.4%(令和元年)が私立中学を受験しています。
公立中学なら受験なしでそのまま進学できるのに、入学試験にトライしてまで私立中学を受験をするのはなぜでしょう。特に注目したいのが男女別学への希望です。
近年は共学化する私立中学が増えているにもかかわらず、男の子のいる家庭ではあえて男子校を選択するケースが目立ちます。家庭によりさまざまな理由が考えられますが、ここでは男子校が人気となる3つの理由を説明します。
- 独自の校風がある:男子校にはそれぞれに建学の精神があって独自の校風が息づいています。
- 一人っ子に向いている:人口減少傾向が続いていますが、男の子の一人っ子家庭では教育の担い手が母親になりがちです。母親は男の子を甘やかして育ててしまう傾向があるため、男子生徒ばかりの環境で育てたいという希望が強いのです。
- 入試の形態が変わった:従来の入試の形態が変わったことも男子校人気の一因です。算数1科目入試を導入する男子校が増え、社会・国語・理科といった他の科目の受験準備をしなくてすみます。算数1科目だけで学力を測るやり方なので、受験しやすくなりました。
男子校の中学に通う魅力とは?
私立中学校の共学化が一般化している中、あえて男子校を選ぶ家庭が増えているのは、共学校にはない魅力が男子校にあるからです。ここでは男子校ならではの3つの魅力について解説します。
「らしさ」を意識しない学校生活
当然のことですが男子校は生徒のすべてが男子です。男子ばかりで女子がいない環境の特徴は何かというと、女子の視線を感じないで学校生活を送れるということ。言い換えるなら、男らしさを意識せずに過ごせるということでしょう。
思春期のまっただ中にある中学生にとって、異性は意識せざるを得ない存在です。クラスの半分を女子が占めれば、行動やものの考え方において男らしさを意識せざるを得ないのは仕方のないことです。
女生徒を意識しながら学校生活を送るのが共学校だとすれば、男子校では女子の視線を感じることなく気楽に過ごせます。「らしさ」を気にしないでのびのびと学校生活を送れるのは、男子校ならではの魅力です。
勉強に集中できて学力が伸びる
勉強に必要なのは集中力です。特に思春期は異性への関心が高まる時期なので、女生徒を気にしてしまいます。男子校は女子がいないので、周囲を気にせず勉強に集中できる環境です。そのため男子校では学力が伸びやすいといわれます。
東大合格者ランキングの上位には、男子校の中高一貫校が多いのも事実です。もともと東大を目指すのは男子の方が多いという事情もありますが、難関大学を目指す生徒にとっては集中して勉強に取り組める男子校は魅力になっています。
友情や絆が強くなる
男性と女性の間で友情が育つのは難しいといわれますが、それは恋愛という複雑な感情が入り込みやすいからでしょう。男子校は男子ばかりなので男同士の友情や絆が強くなる傾向があります。
学校行事やクラブ活動を通して上級生や下級生とのつながりができ、生涯にわたる友情や絆が育まれるケースもあります。特に中高一貫校では6年間一緒に過ごすため、大学生や社会人になっても男同士の付き合いは続きます。これも男子校ならではの魅力です。
【男子校に合格するための受験対策・勉強法はこちら】
塾に通う、自宅での勉強など、学習法は様々なものがありますが、子どもに合う勉強法は1人1人異なります。男子校に合格するための勉強法について、それぞれの性格に合わせた対策を解説します。
男子校と共学校の中学校の違いとは?比較してわかる3つのポイント
小学生の男の子が私立の中学校を選ぶ場合、志望校は男子校か共学校のどちらかになるはずです。男子校と共学校にはそれぞれの特徴があります。3つのポイントを比較することによって、両者の違いを見ていきましょう。
実社会への適応度
- 共学校:女性とのコミュニケーションスキルが磨かれ、実社会に出た時の適応力が身につきます。その反面、多感な中学生時代に同世代の女子と一緒に学校生活を送るので、気が散って勉強に集中できない生徒も出てくるでしょう。
- 男子校:女生徒とのコミュニケーションスキル不足になりがちなので、実社会に出た時、女性に対する適応力に不安を感じるかもしれません。ただし、同世代の男子ばかりなので友情や絆が強まって、それが実社会に役立つこともあります。
ジェンダーギャップ(異性との距離感)
- 共学校:現代の社会はジェンダーによる差別や偏見はタブーです。共学校は男女一緒に学び、学生生活を送るので異性との距離感を学べます。ジェンダーギャップによる先入観を減らすことが可能です。男子の場合、ジェンダー意識が窮屈に感じることもあるでしょう。
- 男子校:男子ばかりなので異性に対する一方的な思い込みや先入観を持ちやすく、誤ったジェンダー観にとらわれる可能性があります。しかし、ジェンダー意識に煩わされることなく、のびのびと学校生活を楽しめる環境であることも事実です。
多様な価値観
- 共学校:男子だけでなく女子の個性や考え方にも接することができるので、多様な価値観が育める環境です。ただし多様な価値観を認めるためには、女子とのコミュニケーションなど積極的な努力を必要とします。
- 男子校:男子生徒ばかりなので、異性である女子の個性や考え方に接する環境にはありません。性別の違いによる価値観は共有できませんが、男子生徒間でも多様な価値観があることを学べます。
男子校にチャレンジする中学受験も考えてみよう!
なぜ男子校を目指す家庭が増えているのか、男子校の魅力やメリットをお伝えすることによって説明してきました。また共学校と比較することによって、男子校ならではの特徴についても触れました。どちらを選ぶのかは、本人の希望や個性を見きわめる必要があるでしょう。
小学校から大学まで、16年間という長い学校生活です。その中の3年間(中高一貫校なら6年間)を男子だけで過ごすという選択も意味があるのではないでしょうか。算数1科目入試という受験しやすい環境も増えています。中学受験を考えているのなら、思い切って男子校にチャレンジしてみませんか。
難関男子校に合格する勉強法は、当ブログの「難関男子校に合格する勉強法教えます!タイプ別にわかる受験対策」という記事に詳しく載っていますので、そちらも参照してください。