私立中学校生向けの補助金・支援金は?学費負担を軽減する方法

諦めない私立中学受験 経済支援制度を把握・駆使

「補助金や助成金制度って結局どれがいいの!?」

奨学金制度を利用された保護者の方もいらっしゃると思いますが、補助金や助成金など、なんだか複雑で、億劫に感じますよね。一般的に私立中学校へ通う場合、1年間にかかる平均的な学費は約108万円、家庭内学習費などを含めると約140万円にもなることがわかっています。

「年間で140万円もの学費を負担するのは大変…!」と感じつつも「子どもがやる気を見せている中学受験を諦めさせたくない」という愛ある気持ち、私たちはその気持ちを全力で応援します!

そこで今回は、私立中学校に通う場合に利用できる補助金・助成金の現状と、私立中学校の学費負担を軽減する方法について詳しく解説します。

自治体ごとに利用できる制度について詳しく紹介していますので、ぜひ最後までご覧ください。

中学生への補助金・助成金は限られている

羽の付いた紙幣

私立中学校へお子様を通わせる家庭への公的な経済的支援制度は、あまり多くないのが現状です。国が定める永続的な制度は今のところなく、地方自治体が行っている就学奨励金や授業料軽減補助金などの制度を利用するしかありません。市区町村が実施する小中学生の「就学援助制度」は、私立学校を対象外とする自治体も多いなど、制度の実施状況は自治体ごとにばらつきがあります。

公的な制度以外には、各私立中学校が独自に実施する奨学金や助成金、授業料免除などの制度が利用できる場合もあります。しかし、公立高校の場合は国の制度である「高等学校等就学支援金」によって授業料が実質無償になることと比べると、決して手厚いとはいえないでしょう。

国の実証事業による給付金は令和3年度までで終了

令和3年現在は、国による「私立小中学校等に通う児童生徒への経済的支援に関する実証事業」として、年収400万円未満かつ資産保有額600万円以下の世帯に対する年額最大10万円の助成が行われています。

しかし、この事業は私立学校を選択している家庭の経済事情などを調査する目的で期間を限定して行われているもので、令和3年度まで(2022年3月まで)で一旦終了します。令和4年度(2022年4月~2023年3月)以降は利用できないため注意しましょう。

ただし今後、実証事業の結果などを受けて、私立中学校にお子様を通わせる家庭への経済的支援制度が新設される可能性はあります。

【私立中学校の面接試験対策はこちら】

私立中学校の受験では、学力試験はもちろんながら、面接試験も重要視されています。実際の私立中学受験の面接試験でよく出題される質問や、その回答例を確認しながら対策を解説します。

私立中学校の学費の負担を減らす方法は?

私立中学校の学費の負担を減らすには、主に次の2つの方法があります。

  • 都道府県ごとの独自の助成金・補助金制度を活用する
  • 奨学生・特待生制度を活用する

それぞれの方法について、以下で詳しく解説します。

都道府県ごとの独自の助成金・補助金制度を活用する

1つめは、都道府県ごとに独自に設けられた、私立中学校に通う生徒を対象とする助成金・補助金制度を利用する方法です。たとえば、次のような助成金・補助金があります(令和3年8月時点の情報です)。

《茨城県の助成金・補助金制度》

制度の名称私立中学校等授業料軽減事業家計急変者への授業料軽減補助
対象となる生徒 令和3年7月1日時点で茨城県内に設置された私立中学校、中等教育学校前期課程に在籍している生徒茨城県内に設置された私立中学校、中等教育学校前期課程に在籍している生徒
支給要件  保護者等全員について所得金額から所得控除額を引いた額が、合わせて140万円未満である贈与税非課税である祖父母などからの教育資金の一括贈与を受けていない保護者等全員の保有資産額が合わせて600万円以下である保護者の解雇、倒産、死亡や傷病による長期療養などの事情で世帯の家計が急変し、所得が「私立中学校等授業料軽減事業」対象相当となる生徒
支給金額年18万円まで月3万1,000円(県平均授業料額)まで

《愛知県の助成金・補助金制度》

制度の名称愛知県私立小中学校等授業料軽減補助金
対象となる生徒7月1日時点で愛知県内に設置された私立中学校、中等教育学校前期課程に在籍している生徒
支給要件     保護者等全員について所得金額から所得控除額を引いた額が、合わせて140万円未満である贈与税非課税である祖父母などからの教育資金の一括贈与を受けていない保護者等全員の保有資産額が合わせて600万円以下である保護者等が誓約書の提出、補助金に付随するアンケート調査・ヒアリング調査への協力を行うこと
支給金額10万円(ただし授業料額が上限)

都道府県によって利用できる制度の有無や助成の内容、適用条件などが異なります。住所地や学校が所在する自治体の制度を確認し、適切な方法で申請を行いましょう。

また、自治体によっては、学用品費などの一部を助成する就学援助制度の対象に私立中学校を含めている場合もあります。進学先が私立でも制度を利用できるかどうか、お住まいの自治体に確認してみるとよいでしょう。

奨学生・特待生制度を活用する

私立中学校には、学校が独自に定める奨学金制度や助成制度、特待生制度などが利用できる場合があります。制度の適用を受けられれば、授業料をはじめとする学費の減免を受けることが可能です。

私立中学校が独自に実施する制度には、次のようなものがあります。

  • 成績優秀特別奨学生:入学試験の成績上位者を対象に奨学金を支給する制度
  • 学校特別奨学金:学業成績や部活動の実績などが優秀な生徒に対して奨学金を支給する制度
  • 授業料減免:経済的理由で就学困難な生徒や兄弟姉妹などが同時に在籍する生徒に対して、授業料を減免する制度
  • 特待生制度:特待生選抜入試などを実施して選ばれた生徒を対象に、入学金や授業料を減免する制度

ただし、これらの制度を利用した場合、奨学生・特待生の適用基準から外れると、以降は一般生徒と同様の学費が必要となることには注意が必要です。

高校生への補助金・助成金制度は?

コインと植物

高校生を対象とした補助金・助成金制度の代表的なものに「高等学校等就学支援金制度」があります。これは、高校が国公私立のいずれであっても、所得などの要件を満たす世帯の生徒に対して高等学校等就学支援金を給付する制度です。

このほかにも授業料以外の教育費負担を軽減するための「高校生等奨学給付金」や失職・倒産などの事情による「家計急変への支援」といった制度もあります。自治体によっては独自の整頓実施している場合もあり、中学生と比べて高校生に対する補助金・助成金制度は充実しているといえるでしょう。

中学生の3年間は家計がギリギリであっても、高校生になると受けられる援助がぐっと増えるため「家計が厳しいのは中学時代の3年間だけ」と割り切って辛抱するのも選択のひとつです。

使える制度をチェックして学費負担を軽減しましょう

高校生に進学すると、中学受験のときよりも支援の種類も多くなるので「とりあえず中学3年間はなんとか我慢しよう」という選択肢もあります。経済的な余裕がないからといってすぐに中学受験を諦めてしまうのではなく、「中学受験を乗り切るためにはどんな方法があるのか」をよく検討してみてください。

中学受験の進路で「私立・国立・公立中間一貫校、みんなどんな進路を選んでいるの?」という疑問を感じたら、以下の記事をご覧ください。

私立中学校へ通う生徒数の割合やメリットについても詳しく紹介しています。